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今季10試合ですでに10本目!? 青木瀬令奈の“週替わりパター戦術”が「大変なことになってます(笑)」

こだわりの1本が見込み通りの活躍。青木瀬令奈が絶好の位置で今季2勝目を狙う。(撮影:福田文平)

<RKB×三井松島レディス 2日目◇13日◇福岡カンツリー倶楽部 和白コース(福岡県)◇6299ヤード・パー72>

「本当に毎週違いますね。去年は10本も使っていなかったんですけど、今年はもう10本になりました(笑)。いろいろなタイプを試しています」。2日目に「67」をマークし、トータル8アンダーの首位タイに浮上した青木瀬令奈が、“驚き”の戦術を明かした。この10本とはパターの話。今季これで出場10試合目だが、すべて使用しているパターが違うという。

今週使用しているのはオデッセイの『トリプルトラック テン』。大型マレットが特徴で、昨年優勝した「資生堂レディス」でも使用していた「去年のエースパター」だ。この週替わりパターは、青木の今季の取り組みの大きな特徴のひとつといえる。

和白は何回も回っているコースでだいたいの芝質などは把握していたため、事前に2本を福岡に持ち込み、コースで確かめてこれを使うことを決めた。他の試合でも、例えば今季2試合目の「明治安田生命レディス ヨコハマタイヤゴルフ」の会場には8本持ち込むなど、しっかりとフィーリングを吟味して選んだ1本をバッグに入れている。

その意図を話す姿は、まるで“職人”のようにも見える。「芝の種類を見て、あとは自分のアドレスのヒジの角度や、ボールとの距離を見てライ角を調整したり。芝の種類、湿度によって切れ方も変わってくることを教わったので、毎週芝に合わせてやろうかな、と。大変なことになっています(笑)」。ちなみに候補は、長さやロフト角が違うものも含め「もう1セット、トラベルカバーにパターだけ入れて持ってこようかな、と思うくらい」というほどある。最後は長年ツアーで戦ってきた直感を信じ、これを絞り込む作業を毎週行っている。

青木のコーチ兼キャディを務める大西翔太氏は、今週トリプルトラック テンを選んだ理由について、こう補足する。「グリーンの芝が先週よりも長くて、立っているので、ボールが沈んでしまう。そうすると出球がばらついてしまうため、それをそろえるために大型マレットのものにしました。ロフトも先週のものは3度だったけど、今週は3.5度にして。これだけで回転も大きく変わってきます」。練習ラウンドの状態などを見ながら2人で話し合い、“最適解”を見つけていく。

昨年の1ラウンドあたりの平均パット数で1位になるなど、もともとパター巧者として知られる青木らしいこだわり。今週2日間の平均パット数は「24.50」で、これも1位タイにつけている。今季は「Tポイント×ENEOSゴルフ」で優勝した後、4試合連続予選落ちも経験。しかし「どうしても波はあるので、そんなに気落ちもしていなかったです。いつか優勝するために今何をするか、という学びだと考えていました」と“達観”している。

今季2勝目に向け、福岡で絶好の位置についた。この日の4番パー5では20メートルのバーディパットを決めるなど、その選んだ1本も存在感を発揮している。「レギュラーツアーでは(和白で)あまりいい成績を残せていない印象。今週のパターがいい感じなので、それを生かしながらバーディを獲っていきたいです。優勝目指して頑張ります」。このグリーンに合っていると見込んだパターで、最後のウイニングパットを沈めてみせる。(文・間宮輝憲)

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