まだまだ多い“半ズボンにハイソックス”でゴルフ は日本だけの非常識なのか?
半ズボン+ロングソックスは、ゴルフの伝統なのかを確認するために、スコットランドのゴルフライターに確認したところ、こんな返事でした。「現地は夏でも寒いので地元のゴルファーは半ズボンでゴルフをしない。見かける半ズボンゴルファーは、米国からの旅行者ぐらいだが、ハイソックスという決まりなんて聞いたことがない。そもそも、リンクスには棘がある植物がたくさんあるので、長ズボンじゃないと危ないよ」
この奇妙なドレスコードは、日本だけの奇妙なものなのです。調べてみると、戦争中に捕虜になった日本の軍人がオーストラリアの収容所で、英国人がゴルフをしているところを見て、勘違いしたのが、日本中に広まったものだとわかりました。(諸説あり)
オーストラリアはエリアによって、死亡事故になる可能性がある毒を持ったマダニが、ラフに生息しています。現地では長ズボンでのプレーが奨励されていますが、半ズボンの場合は、厚手のソックスを履くそうです。
日本のある名門のコースで、半ズボンに透けた素材のハイソックスでプレーしているメンバーを見たことがあります。本人からすれば、ドレスコードをクリアし、涼しいので一石二鳥のようですが、どこぞの二丁目の明け方に展開する奇妙なおとぎ話に出てくるドラッククイーンに見えました。笑いを堪えるのに必死になったのです。
誤解が広まったという事実は、多くの見識者も知っているので、半ズボン+ハイソックスのドレスコードは廃止されていく流れになりつつありますが、それこそが名門なのだと意地になっているコースもいまだにあります。理事会でドレスコードの維持が決定したという話を聞くたびに、先程の自慢気にエロいストッキングで、颯爽と歩いていたメンバーを思いだして、裸の王様のゴルフ版みたいだなぁ、と思うのです。
もちろん、メンバーシップのコースなので、そこで決めたルールについて部外者がとやかく言う筋合いのものではありませんし、長い間変わらないものや慣例をたやすく変えないほうがいい、ということはわかります。しかし出自のよくわからない、というより誤解によって根付いてしまったおかしなルールは、その原理原則にまったく合理性がないことがほとんど。(高機能なハイソックスなら、日焼け止めや疲労軽減の効果はあるかもしれませんが…)
郷に入れば郷に従え。奇妙だとわかっていて周りに合わせてピエロになるのも、先輩想いが尊重される日本というこの国の正しい伝統ですし、同じ我慢なら暑くとも長ズボンを選ぶのも大正解です。夏のゴルフはゴルファーを試す壮大なテストでもあります。どっちを選ぶかは、アナタが決めれば良いのです。
(取材/文・篠原嗣典)
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