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上井邦浩は“10万円”に泣く 公傷制度ラストマッチでシード維持ならず

バーディ締めで望みをつないだ上井だったが…。ほんのわずか届かなかった。(撮影:上山敬太)

<ゴルフパートナー PRO-AM トーナメント 最終日◇21日◇取手国際ゴルフ倶楽部(茨城県)◇東コース(6804ヤード・パー70)>

昨年9月に「左母子腱鞘炎」により特別保証制度を受けて、トーナメントの欠場が続いていた上井邦浩。今年は4試合の出場が保証され、22年の17試合と合算した賞金額が昨シーズンのシード獲得最下位選手だった木下裕太の1132万9850円を上回ることが、シード維持の絶対条件だった。

今大会で186万7416円を獲得しなければ、シードを失う。維持のためには『2人までの7位タイ以上』がノルマ。予選ラウンドを5位タイで突破したが、3日目に「68」と伸ばしきれずに、15位タイの圏外に落ちてしまった。

運命の最終日。13番まで5つのバーディを積み重ねて、順調に順位を上げていく。15番のボギーで可能性が消えたかに見えたが、16番パー3で8メートルをねじ込んでバウンスバックを決めると、最終18番ではセカンドショットを1.5メートルにつけ、バーディ締めでガッツポーズ。6位タイまで順位を上げてシード維持へ望みをつないだ。

上井が18番グリーンでリーダーボードを見たとき、自分の名前は10番目だった。「途中にボードがなくて順位はわからなかったけど、これは入れないとダメだと思ったら緊張してきました(笑)」。バーディパットを入れると、上井の状況を知ってか知らぬかギャラリーから大歓声。上井も「ワンチャン(シード)いけるかも」とやりきった顔でホールアウトした。

「前半はパターが入らなくて、これはやべーと思って。ちょっとしっかり打つようにして、入り出して気分が乗ってきた。14番パー3でここを獲ればワンチャンあるなと思って意識したらダフってチーピンして、OBのほうに飛んでいったけど、木に当たって助かっていた。そこから30ヤードくらいをアプローチしてパー獲って、16番は長いのが入った。あれはラッキーでした。きょうはたくさん運もあった」

優勝争いとは違う上井の戦いがそこにはあった。上井の運命は後続の選手たちの運命に委ねられ、圏内と圏外を行ったり来たりしていたが、最終的に上井を含めて7位タイが4人いたために、9万8916円足りずにシード落ちが決まった。

だが、『直近のツアーで成績上位10位以内』で次週の「〜全英への道〜ミズノオープン」には出場できる。「毎週ベスト10に入ればずっと出れますね(笑)」と冗談を飛ばすが、ベスト10を逃せば、今年はもうリランキングの対象外となって出場権利はない。

来季のツアーに出るためには、最大6試合の推薦出場で優勝するか、23年シーズンの獲得賞金でシードに入るか、昨年見送ったファイナルQTに今年出て、上位で終えるしかない。今大会の賞金を加えた今シーズンの通算は433万9900円で現在26位。昨年の実績で考えるとシード入りには残り700万円が必要となる。上井の新たな戦いがまた始まった。(文・下村耕平)

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