ゴルフと仕事を両立させる働き方がいま話題に

時間や場所を問わない新たな働き方が加速

コロナ禍以降、テレワークやワーケーション、さらに業務内容に合わせて拠点を自由に選択するABW(Activity Based Working)といった働き方が増えている。
 
矢野経済研究所がまとめた国内ワーケーション市場規模予測によれば、2021年度の同市場規模は699億円の見込みなのに対し、2022年は845億円、2023年は1084億円に拡大すると予測されている。(出所:矢野経済研究所「2022年版地域を活性化させるワーケーション市場の実態と展望」)
 
こうした市場拡大の背景には、一部の企業がワーケーションの導入に踏み出しただけでなく、コロナ禍以降、仕事をしながら自由な時間を好きなことに費やしたいと考えているビジネスパーソンが増えたことなどが影響している。実際に、JR新白河駅周辺の施設や店舗などが一体となってリモートワークやワーケーションの招致活動を行っている福島県県南エリアでは、近年、仕事とプライベートを兼ねてこの地を訪れる人が増えているという。
 
JR新白河駅といえば東北の玄関口でもあり、東北新幹線なら東京駅からわずか70分ほど。駅を出ると、目の前には緑あふれる豊かな自然に囲まれ、まさに非日常の空間を感じることができる。ゴルファーならいますぐコースに行ってラウンドしたくなりそうな最適な環境といえるが、実は福島県県南エリアは、ゴルファーケーション(造語:ゴルフ+ワーケーション)を実践できる場所として、ゴルフ好きのビジネスパーソンからここ数年注目を集めている。

ゴルフを取り入れた働き方を提案する福島県県南エリア

ゴルファーケーションとは、2021年から福島県県南地方振興局が中心となって始めた地域活性化の一環で、ゴルフと仕事(ワーク)、休暇(バケーション)から組み合わせた造語。コロナ禍によってライフスタイルの変化や企業の就業環境の整備が進むなか、ゴルフも仕事も全力で打ち込みたいというビジネスパーソンに向けて新たな働き方を提案している。
 
具体的なプログラムとしては、JR新白河駅からのアクセスが便利でかつ宿泊施設を併設している4つのコース(白河国際カントリークラブ、棚倉田舎倶楽部、矢吹ゴルフ倶楽部、白河高原カントリークラブ)でそれぞれゴルファーケーション向けの専用プランを用意しており、2泊3日(3ラウンド+7食付)から4泊5日(5ラウンド+13食付)まで、滞在期間に合わせて選べるようになっている。
 
今回、取材班はゴルファーケーションを体験すべく、平日の通勤ラッシュで混雑するJR東京駅へ向かった。
 
朝6時40分発の東北新幹線に乗り込み、移動中はコーヒーを片手にスマートフォンでメールチェックをしていると、8時過ぎにJR新白河駅に到着。そのまま駅前で待機していた送迎バスで白河国際カントリークラブ(福島県白河市)に入り、9時30分からラウンドを開始した。
 
緑豊かなフェアウェイが広がる那須コース1Hのティグラウンドに立つと、数時間前までの都会の喧噪がまるで夢だったかのように思えてしまう。この白河国際カントリークラブは、緩やかな丘陵地にレイアウトされており、那須連山の雄大な景色を楽しめる。広々としたフェアウェイへ豪快なショットを放つ開放感がある一方、割とチャレンジングなホールもあり、慎重にショットをしないとスコアメイクが難しい。攻めるところは攻め、守るところは守る、緩急を上手く使い分けることで攻略できる、面白いコースだ。
 
15時過ぎにラウンドを終えると、移動せずそのままゴルフ場で即仕事モードに切り替えることが可能だ。クラブハウス内のWi-Fiスポットで仕事ができるのはもちろん、チェックインすれば宿泊する自室ですぐに作業に移れる。今回の体験はゴルフ場に到着してすぐに1ラウンド回ったが、例えば早朝にハーフラウンドして午後は仕事、あるいは午前中仕事をして午後から薄暮ハーフラウンドといった具合に、都合のいい時間を活用してゴルフを組み合わせることもできる。
 
また白河市内には、サテライトオフィスやコワーキングスペースを提供する「ラ・クリエーションプラス(La’ CRÉATION PLUS)」がある。こちらは1時間200円、1日1,000円という少額で利用できるため、将来的に本格的なリモートワーク環境の構築、あるいは起業の準備をしたい人にも頼りになるだろう。

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