「日本では経験したことがない」 川崎春花が聖地の4日間で学んだ“発想”
<AIG女子オープン 最終日◇25日◇セント・アンドリュース・オールドC(スコットランド)◇6784ヤード・パー72>
「来てよかったなと思います」
川崎春花は、日本ツアーで優勝した先週に急きょ決まった全英の4日間について、一切の迷いを感じさせない声でこう回答した。これまで経験したことのないできごとの連続。21歳にとっては、そのすべてがゴルフの幅を広げるための血肉になる。
リンクスでの戦い。しかもそこは、ゴルフの聖地とも呼ばれる場所だ。全英は昨年に続き2度目の出場だが、その昨年の開催コースだったウォルトン・ヒースGC(イングランド)は、どちらかというと林間コースに近い形状だった。同じ大会でも、その趣は大きく異なる。
「むっちゃ難しかったですけど、課題がすごくよく分かりました」。それが、ここに“来てよかった”と思える理由だ。日本のコースではない発想が必要になることを感じた。
例えば、ポットバンカーへの対応もそう。「(入ったら)結構な確率で1打ロスしてしまう。日本だと入れてもいいフェアウェイバンカーがあったりもするけど、ここは全部入れてはいけないので」。その対策として得たのが、「ラフも活用してマネジメントしていくことも大事」ということ。
フェアウェイに置いて、そこからグリーンを狙う。ある種、常識と思っていたことが揺らいだ。「ポットバンカーに入らないよう、フェアウェイの幅が狭かったら、少しくらいラフに行っても。あまりラフっぽく無いところもあるので」。そんな割り切りが、プレッシャーを軽減することを実体験として味わった。
この4日間は、現地のキャディとともに戦ったが、それも学びになった。ラフに打っていくというマネジメントも、助言されたこと。またリンクスの風に対し、自分が思っている以上に体の向きを大胆に開いたり、閉じたりする必要性も教わった。「これくらいの風が吹いたら、こんなに戻されるのかと感じていました。日本でこんな風は経験したことがない。これから自分自身が生かしていきたい」。国内ツアーを戦ううえで、決して頻繁に起こることではないかもしれない。ただ、そこで得たものを主戦場でのプレーにつなげることはできる。
初日は1アンダーをマークしたが、その後の3日間はオーバーパーを並べることになった。トータル6オーバーは55位タイ。それでも昨年の73位という成績は上回った。ルーキーイヤーの2022年にメジャー1勝を含む2勝を挙げたが、昨年は未勝利の1年に。それでも今季はここまで3勝と再び成長のステップを踏んでいる。「学んで終わりではなく、自分のゴルフにつなげられるように」。特別な4日間で得たものが、さらに川崎を強くするための大事なエキスになる。
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