隠れティショットの女王・川崎春花 ケプカのインパクトとJTのフォローで飛ばす【女子初シードスイング解説】
ついに23年の国内女子ツアー開幕! 昨シーズン、初シードを獲得した11人のスイングを飯島茜が解説し、同時に今季の活躍を占う。今回は昨年、国内メジャー「日本女子プロゴルフ選手権」を含む2勝を挙げた川崎春花のドライバーショットを見ていこう。
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川崎春花
2003年5月1日生まれ 19歳 京都府出身 158センチ
22年メルセデス・ランキング15位 年間獲得賞金8位(9205万2000円)
22年シーズン2勝(日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯、NOBUTA GROUP マスターズGC レディース)
ドライビングディスタンス(19位相当) 243.75ヤード
フェアウェイキープ率(14位相当) 74.2188%
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川崎は昨シーズン、21試合と出場試合数が少なく規定ラウンド数を満たさなかったため、各部門のランキングがつかなかった。ドライビングディスタンスをランキングに換算すると19位、フェアウェイキープ率は14位に相当し、その合計は『33』。これは昨年、トータルドライビングのタイトルを獲得した桑木志帆と佐久間朱莉の『46』を大きく上回ることになる。川崎は隠れティショットの女王なのだ。
昨年、「日本女子プロゴルフ選手権」を含む2勝を挙げて、大躍進を遂げた19歳のスイングについて「女子のなかだとNo.1に近いくらいのインパクトをしていると思いました」と飯島は絶賛する。
そのインパクトにつながるのは、深く捻転したトップと体が開かないダウンスイングだ。「トップでクラブは浅めに見えるんですけど捻転は強い。これだけ背中が捻れているのに足はしっかり前を向いていて緩んでいません。1軸で振っていくタイプで芯が真ん中にある」。
ダウンスイングではクラブを置いてくるように、下半身から切り返していく。「下半身は左に回ろうと回転していくけど、上半身はまだ右を向いていて、胸がまだ開いていない。捻転がキープされています。捻りを上手く使える選手です」。下半身先行の動きにより左腕とクラブの角度が生まれ、いわゆる“タメ”を作ってボールに向かっていく。
そしていよいよ、飯島が「男前」と評するインパクトを迎える。「ボールに当たる直前の写真を見ると、まだ手首の角度を保っている。本来ならほどけてボールを打っていてもおかしくないところです。そこから、ハンドファースト強めでフェースを開かずにバシッていう感じ。ドライバーなのにショートアイアンで打っているかのような抜け方をしています。フェースを返さないでこれだけフォローが出せるから、押せる時間が長い。連続写真で見ると彼女の強みがわかりますよね」。
飯島は川崎の女子プロ離れしたインパクトをメジャー4勝の実力者と重ねる。「これだけハンドファーストに当てるのは(ブルックス)ケプカに似ていますよね。なかなかこういうインパクトをとれる女子はいません」。ケプカもまた飛んで曲がらないドライバーショットが持ち味の1つだ。
ショットの安定感を生む長いインパクトゾーンに加え、飛距離を生み出す要素がインパクトからフォローにかけてのジャンプ。「瞬発力も上手。ベタ足から入ってきたなかで耐えて、耐えて、インパクトをしてからジャンプも使ってバネもしっかりある。地面を蹴っていないと、足ってこんなに上がりません。ジャスティン・トーマスのようです」と、ここでもジャンプによって爆発的な飛距離を出すメジャー2勝のトップ選手の名前を挙げた。
川崎は開幕戦こそ、新型コロナウイルス陽性により欠場を余儀なくされたが、「普通に上位に来ると思います」と今季の活躍に飯島は太鼓判を押す。
「ハンドファーストキープのまま真っすぐ当てて手を返さないダイナミックなインパクト、そして瞬発力を感じるフォローが彼女の最大の武器。ショートゲームを磨いてくるともっと抜けてくるかなという感じはします。女王争いもなくはない。あとはそれに耐えられる体力やメンタルがあるのかどうかです」。昨年大躍進を遂げた19歳が、今年はどんなドラマを演出してくれるのか、乞うご期待。
■飯島茜
いいじま・あかね 1983年7月11日生まれ。千葉県出身。05年のプロテストに一発合格すると、同年から12年連続でシード権をキープし、「日本女子プロゴルフ選手権」などツアー通算7勝を挙げた。現在はツアーの第一線を退き、東宝調布スポーツパークでアマチュアにレッスンを行ったり、YouTuberとしても活躍中。
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