「時間が止まったかと思うくらいビックリ」 寺岡沙弥香は涙の1罰打…から劇的イーグル締め!
<アジア・パシフィック女子アマチュア選手権 3日目◇11日◇シンガポール・アイランドCC(シンガポール)◇6343ヤード・パー72>
寄らず入らずのボギー発進。肩を落として迎えた3番パー4で、寺岡沙弥香のティショットはフェアウェイセンターを捉えたが、先に打つ同伴競技者のボールと近かったため、自身のボールを拾い上げた。そしてどれくらいで打とうかと考えていたところではっとした。マークをしていない…。
「まさかまさかのっていう。時間が止まったかと思うくらいビックリしました」。もちろんマークをしてから拾い上げなければならないことは知っていたが、初めての海外試合ともあっての寝不足、そして暑さで「集中力が落ちているな」ということは自覚していた。結局、2オン2パットで本来ならパーで終えられたところを、1打の罰が科せられて“ボギー”。「普通にボギーを打つのとは違う」と悔しい感情がこみあがり、涙が流れた。
それでも「2ペナやと思っていたけど、1ペナで済んだから得した気持ち」、「3パットしたと思おう」と自身に言い聞かせ、なんとか切り替えようと涙をぬぐった。そして7番でバーディを奪うと9番でも伸ばし、前半の“借金”をチャラにした。
そして最後の最後、寺岡に女神がほほ笑んだ。この日1オーバーとして入った最終18番パー5。やや打ち下ろしながらピンまで250ヤードあった2打目が「絶対届かないと思っていたら、『乗ってんけど!』って」と2オンに成功した。そしてグリーンに近づくにつれて、「直感」が降りてきた。「絶対に入るわ~って自信が湧いてきた」と強気に打った20歩のイーグルトライはカップのど真ん中から吸い込まれ、バンザイとともにその表情は満面の笑顔に変わった。
思いもよらない事態から幕を開けたが、劇的イーグル締めによってこの日は1アンダーの「71」。トータル3アンダーに伸ばし、9位タイの好位置で最終日を迎える。目標スコアは「気持ちは『54』、リアルは『65』(笑)」とちょっぴりお茶目な20歳。「ここ3日間の(決めきれない)パターのうっぷんを晴らして、胸を張って日本に帰りたい。全ホールバーディ獲るつもりで攻めまくりたいです」。ビッグスコアに望みをかける。(文・笠井あかり)
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