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比嘉一貴が松山英樹のウェッジを模して作ったオーガスタ対策の1本「少しやわらかい球が打てる」

左がもともと比嘉一貴が使っていたサンドウェッジで、右がオーガスタ対策で急きょ用意したクリーブランドのサンドウェッジ(撮影:ALBA)

<マスターズ 初日◇6日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>

比嘉一貴は今回の米国遠征に、バンスの違う何本かのサンドウェッジを持ち込んでいる。それとは別に、前週に松山英樹とともに出場した「バレロ・テキサス・オープン」では、クリーブランドのウェッジも作った。実はこれ、「松山さんのウェッジを見て、お願いして作ってもらったもの」だという。

急きょ用意したウェッジについて比嘉は「バンスの当たり方がちょっと変わる。いままでのウェッジだとヒールアップした状態でないと、バンスが上手く当たらなかったところを、少しバンスがセンターよりになって、いままでのアドレスでも球が上がりやすくなった。少しやわらかい球が打てるようになったと思います」と説明する。
 
この2本を比べてみると、ウェッジの性能を決めるソールの形、バンスの削りが確かに違う。比嘉がもともと使っていたブリヂストンのウェッジは、山型のバンスだが、クリーブランドのウェッジは台形になっている。この2本の違いについて松山英樹のクラブを担当するスリクソンのツアーレップ、宮野敏一氏に聞いてみた。
 
「松山プロもアドバイスをしていて、新しく比嘉プロに渡したウェッジは平らな部分に入り口と出口があって台地みたいになっている。従来のものはお山ですね。松山プロのウェッジは比嘉プロのものより少しバンスが少なくなっています」
 
バンスの違いによって性能はどう変わるのだろうか。「打ち方にもよりますが」と宮野氏は前置きした上で、「日本のコーライ芝の上にボールが乗っかっているときは、お山のバンスは利いてくる。松山プロの台地の形のウェッジでやると、だるま落としになる可能性が高い。しかし、米国の下が硬くてボールが沈んだ芝のときには、自分がやりたいことをやる前にバンスが弾いてしまうことがある。弾くこと自体は悪ではないんですけど」と話す。
 
比嘉は練習日に「グリーンのコンディションがもっとハードになって、ニアサイドのアプローチでいままでのウェッジでは止まらないとなると、考えないといけない」とウェッジ変更も示唆。しかし、比嘉の飛距離だとパー5は2オンよりも3打目勝負となることが多いため、「レイアップを軸に攻めるというところで、距離感をいままで通りにしたい」という理由で、初日は慣れているブリヂストンのウェッジを使った。
 
ここで気になるのは、市販品とはまったく違う形といわれる松山のウェッジ。信じられないようなやわらかい球でスピンを利かせてギュギュッと止めたりと、アプローチの技術も高く、ほかのPGAツアーの選手が聞きにくるほど。比嘉がクリーブランドのサンドウェッジをテストしたことで、もしかしたら松山の打ち方のヒントが見えてきたりしないのだろうか。
 
「松山さんは参考にならないくらい上手いんですよ(笑)。そこはウェッジも含めていろいろ考えた結果、その打ち方になっていると思います。松山さんに僕のウェッジを打たせると、やっぱり松山さんでも思い通りに球が打てない。それだけバンスだったりクラブ調整が大事なんです」(比嘉)
 
偶然にも宮野氏も同じことを言っている。「ウェッジ1本をとっても、バンスの削り方でたくさんの種類がある。何も考えてないで買っちゃうアマチュアもいますけど、もしかしたら真逆のバンスがいいかもしれない。本気で選んだら人生が変わる人もいると思います」。ウェッジのバンス1つで飛び方の変わるアプローチ。そんな視点でマスターズをテレビ観戦するのも面白いかもしれない。(文・下村耕平)

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