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「腕とクラブの重みを使う天才」古江彩佳のアイアンショットをプロコーチが解説

古江彩佳のアイアンショットを辻村明志が解説(撮影:鈴木祥)

「アムンディ・エビアン選手権」で日本勢4人目となる海外メジャー優勝を達成した古江彩佳。最終日の18番パー5では、残り175ヤードから6番アイアンでピン横4メートルに2オンさせ、劇的なイーグルフィニッシュで優勝を決めた。身長153センチと小柄ながら世界トップクラスの正確性を誇るアイアンショットについて、上田桃子、吉田優利、渋野日向子らを指導するプロコーチの辻村明志が解説する。

古江さんは道具の重さを一番操れる選手です。「本当に握っているの?」と感じるくらいグリッププレッシャーが緩い。腕の重みやヘッドの重みを使う天才だといつも思っています。その証拠に、本来の身体能力よりも飛距離を出すことができるのです。

日本の女子プロの飛距離は9番アイアンで平均130ヤードくらい。飛ばない選手で125ヤード、飛ぶ選手で135〜140ヤードという感じ。古江さんはロフトをしっかり立てて当てられるので、9番アイアンで135ヤードくらいまで打ってくる。それでいて振り感は強くありません。アイアンが下手なアマチュアは、ロフトが寝て当たるのでショートアイアンで飛ばない現象が起こる。

また、古江さんは腕やクラブの重さを利用してフェースをぶつけていけるタイプで、アイアンに限らずユーティリティやフェアウェイウッドでもターフを取っていける。そういう選手は総じてアイアンが上手い。スイングで言うと、トップの位置から下半身リードで、ダウンスイングの初期に若干フェースを閉めながら下ろしてくる。早めにボールをグッとつかまえた状態を作るから右へのミスが出ないのです。

古江さんのような効率的なダウンスイングを身に付けるには、カサを使って素振りするのがオススメです。カサを開いた状態でトップを作り、カサの中に頭が残るように切り返して、ハーフウェイダウンで止めます。手先ではなく下半身リードで切り返すことができれば、カサを差した状態を保てるので試してみてください。

■古江彩佳
ふるえ・あやか/2000年生まれ、兵庫県出身。アマチュア時代に勝った19年の「富士通レディース」を含む日本ツアーで通算8勝を挙げている。22年からは米ツアーに参戦し、同年の「トラストゴルフ・スコティッシュ女子オープン」で米ツアー初優勝。今年の「アムンディ・エビアン選手権」で、海外メジャー初制覇を達成した。富士通所属。

■辻村明志
つじむら・はるゆき/1975年生まれ、福岡県出身。上田桃子、吉田優利、渋野日向子らをはじめ、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏(読売ジャイアンツの打撃コーチを務め、王貞治に「一本足打法」を教えた)に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。元(はじめ)ビルコート所属。

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●昨季から不調が続いていた渋野日向子だったが、今年の「全米女子オープン」では2位と気を吐いた。いったいどこが良くなったのか? 関連記事【渋野日向子は左軸スイングで打点が安定! ピンを狙えるアイアンショットが復活】では、プロコーチの平尾貴幸が渋野のアイアンショットを分析している。

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