レーザーエッチング処理って実は凄い? ブリヂストン『B』シリーズを【打ってみた】
直近でテーラーメイドが新しい『MG4』ウェッジを発表したが、そのキーテクは、レーザーエッチング処理されたスピン・トレッド・テクノロジー(国内では『HYDRO SPIN FACE』?)なるフェース面の摩擦処理。特に濡れた時のスピン性能を高めたそうだが、ここで忘れたくないのがブリヂストンの新しい『B』シリーズのキーテクだ。同じくレーザーエッチング処理で奇抜すぎるジャギジャギなフェースミーリングが特徴の『B1ST/B2HT/B-limited B1LS』ドライバーを最初に試打したのは、少し前の都内の練習場だった。
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ジャギジャギを見るなり「随分とまた奇をてらったな…」と内心つぶやいたのが本音だが、実際に打つと、練習場の団子ボールでも妙に球持ちがよく、滑る球が出づらかった。HS50m/s弱のローフェーダーの記者には『B2HT』や『B1ST』ドライバーの純正シャフトSではアンダースペックだが、総じて「滑って右」が出なかった。そして、本命の低スピンモデル『B-limited B1LS』ドライバーを打つとこれがドンピシャ。1Wが大の苦手な記者が芯を多少外しても曲がらず好結果が出て驚く。(しかもロースピン過ぎて球が潜る!)
担当者は「タイヤから始まるブリヂストン独自の接点の科学を研究する中で生まれた新たなフェーステクノロジー【スリップレスバイトミーリング】を搭載したことで、ボールの滑りを抑える食いつくフェースにより直進性の高さを実感いただけるはず」と言う。フェースの外側にいくほどジャギジャギがキツくなるが、これは特にオフセンターヒット時の滑りを補正し、球持ちを良くすることでサイドスピンの補正を狙っており、確かにロースピンで記者がスクエアヒットしやすい『B1LS』だと、余計にその効果を実感しやすかった。
この【スリップレスバイトミーリング】の性能を実感したものの、あくまで“補正的”であり、酷くフェースが開いたミスショットを解決するまでに至らないのは当然。インパクトのフェース向きがスクエアに近い時のトウやヒールに外した際に、当たり負けで出るようなミスでも“球の散らばりが耐えてくれる”といった印象だ。また最初に「滑らない」と聞いた時、ただでさえつかまる印象の同社の1Wが「さらにつかまって、左が来るのでは?」と思ったが、その心配も杞憂だった。
コースで行われた宮里藍さん&聖志プロの試打イベントで、改めてフィッティングをしてもらったが、滑らないフェースのせいで左に巻くといった球は皆無。むしろ、練習場の団子ボールより反発のいい本球だと『B1LS』ではなく『B1ST』ドライバーの方が遥かに結果が良いと判明。フィッターの方の推奨通り『ベンタスTRレッド』(6S)でローフェードの打ち出しを幾分上げ、効率よくキャリーが出せるようになった。
宮里藍さんが「滑らないフェースのUTを使える選手が羨ましい」と話したこととも関連するが、コース試打で記者が一番気に入ったのは、『B1ST』フェアウェイウッドだった。今作からチタン+カーボン複合FWに生まれ変わったこともあり、妙に初速が速くて驚いた。加えて、滑らないフェースの効果か、直進安定性が記者に凄まじく良好だった。トラックマン計測でも苦手な1Wにかなり近い球が15°の3Wで連発。ボール初速も打ち出しも理想的で「もう1Wが要らない」と本音が漏れたが、同社の担当者も苦笑いを浮かべていた。
また、宮里藍さんのコメント通り、ウッド型UT嫌いの記者でも滑らないフェースの『B1ST HY』は横風にも強い球でH3(21°)でもラン5ヤードほどでグリーンに止められて驚く。これがレーザーエッジング処理のミーリングの効果かどうかは不明だが、テーラーメイドもタイヤの技術を例に出し『MG4』ウェッジのトレッド技術を開発したとか。ブリヂストンには、タイヤもレーザーエッジング処理も先駆者として、今後はぜひとも「アイアン領域にまでこの技術を拡張してほしい!」と願うのは記者だけだろうか。
Text/Mikiro Nagaoka
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