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河本結は人生初のウエイティング「出るつもりで準備して」初日第1組スタートの1時間前まで待機 その心のうちは?

初のウェイティング枠での出場となった河本結(撮影:佐々木啓)

<資生堂 レディスオープン 事前情報◇28日◇戸塚カントリー倶楽部(神奈川県)◇6605ヤード・パー72>
 
上位選手たちがプロアマ戦をプレーする一方、河本結は人生初というウエイティングで出場の機会を待っていた。28日午後の時点で2番手。今後ふたり以上の欠場者が出れば、出場機会が巡ってくる。第1回のリランキングが実施された時点では主催者推薦で試合に出るのか、ツアーを離れてじっくりスイングを作り直すのかで迷っていたが、河本は前者を選択。決断のきっかけは父との電話にあったという。

河本は2018年7月にプロテストに合格。前年のQTを経て、この年は開幕からステップ・アップ・ツアーに出場し、4勝を挙げてステップ賞金女王に輝いた。これにより、19年のレギュラーツアー出場権を獲得。19年は開幕4試合目の「アクサレディス」で初優勝を遂げ、その後も試合に出られない立場になったことはなかった。米ツアー参戦時代にはウエイティングを覚悟しなければいけない試合もあったが、「なんだかんだで出られていたんで、ちゃんとウエイティングをするのは初めてです」という。
 
初日は第1組がスタートする1時間前までにコースに来て、いつ出場枠が空いてもいいように待機しなければならない。そうしたウエイティングの方法も初めて知ったという。「2番目なので出られないだろうなとは思っているんですけど、出るつもりで準備はしています」と話し、コースではプロアマ戦が行われている中、練習場でショット、パットと入念に調整した。
 
河本の迷いが晴れたのはリランキングの期限だった「ニチレイレディス」の最終日、6月18日だった。この日は父の日であると同時に父・由一さんの誕生日だった。「久々に電話をして『おめでとう』を言って、あとはリランキングで試合に出られなくなること、今後のことを話しました」。怒るでも、活を入れるでもなく、父はいつもと同じように「そうか、そうか」と話を聞いてくれたという。
 
「どんなに朝早いスタートでも、父はスタート前とホールアウト後にLINEをくれるんです。それなのに申し訳ないなと思って…。そうやって応援してくれる人、支えてくれる人のために頑張りたいというか、20分ほどの電話だったんですけど、私が頑張る理由を思い出させてくれて、闘志に火がつきました」。
 
そうと決まれば、話は早い。すぐに第2回のリランキングの期限である「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」(9月22~24日)まで、主催者推薦で出られる試合には出場することを決断した。
 
先週は今季自己最高の23位タイに食い込むなど、調子は確実に上向き。「ショットが許容範囲内に収まるようになってきました。今後は海外メジャーで上位の選手が休む試合もあるので、私にとってはチャンスだと思って頑張ります」と話す。今週、出場できるかどうかは分からないが、このウエイティングという経験も、今後の成長に必ずつながるはずだ。(文・田中宏治)

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