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6連続ボギーからの“生還” 星野陸也が最終ホールで演じた 「ハラハラドキドキ」のドラマ

星野陸也はハラハラドキドキの一日に。最後はバーディ締めでホッ(撮影:ALBA)

<ISPS HANDA・ワールド招待 3日目◇19日◇ガルゴルム・キャッスルGC(北アイルランド)◇7151ヤード・パー70>

トータル2アンダーの9位と好位置で決勝ラウンドに進んだ星野陸也だったが、3日目はスタートの1番からまさかのできごとに襲われた。「今までに6連続ボギーなんてしたことあったかな?とか考えながら。記憶にないですね。プロになってからは初めて」。1番から6番までボギーを並べる、そんなことが起こってしまった。

午前中、強く吹いた風に対応できずショットが荒れた。「あれ…どこまでボギーが続くんだろう」。こうなると疑心暗鬼も生まれてくる。前日にリンクスのキャッスルロックGCでプレーしたことも、その狂いの原因になった。「地面のやわらかさが全然違う。リンクスは硬かったのでそのイメージが最初は残っていた。昨日のショットのイメージで、クラブが深く入り過ぎて、出球がうまくいかなかった」。とにかく何もかもがうまくいかない立ち上がりだった。

今大会は、3日目終了時点で35位タイまでに入った選手しか最終日に進めないセカンドカットが実施される。この6ホールを終えた時点で一気にトータル4オーバーにまで急降下し、そのラインを下回ることになった。「貯金がまだある。後半は風が少しやんだこともあって、最低でも2つ取り戻せばいける」。心のなかでそう唱え、落ち着きを取り戻そうとした。すると12番、15番でバーディを奪った。初バーディとなった12番パー3では、パットを決めた瞬間のホッとした表情が印象的だった。

ただ、さらなるハイライトが終盤に訪れる。そのきっかけになったのは17番パー4だった。フェアウェイからのセカンドショット。ここは事前の予報で右風が吹くことを把握しており、それを警戒して低い球を打った。しかし突然、左からの強烈な風が吹き込む。ボールはグリーン右のバンカーへ。運の悪いことに、それが目玉になり、さらに「完璧」と振り返ったリカバリーショットも下り傾斜で跳ね、逆サイドのラフとカラーの間まで転がってしまう。「うそだろ、ここにきて…」。大事な場面で、再びカットラインを1打下回るトータル3オーバーに後退するボギーが来てしまった。

最終18番パー5のティに上がる時、「行くしかない」と星野は覚悟を決めた。狭いフェアウェイを目がけてドライバーを強振。序盤あれだけ苦しんだティショットだったが、ここで打球は完璧な軌道を描いた。ピンまで残り230ヤード地点のフェアウェイを見事にヒット。さらに2打目も4番アイアンを振り抜いた。グリーン左に池があるホールだが、リスクは承知でグリーン狙い。「とにかく左からの風を信じて、右サイドからドローをかけて風にぶつけたら、うまく乗ってくれた」。着弾地点は、ここしかないというグリーン右サイドで、ピンまでは16メートル。これを2パットで沈め、小さくガッツポーズ。なんとか足切りラインを越えた。

この18番こそ、今年から欧州を主戦場にしてきた星野の集大成になった場面でもある。「ここぞっていうときに完璧なショットが打てたことが、バーディを獲ったことよりも一番うれしかった。海外に来てからは、緊張する場面で『いかないと』ということがたくさんあって、そこで何度も失敗してきた。きょうはいい球が打ててよかった」。最終日の道を切り開いたショットは、結果よりもその内容に意味があった。

本人だけでなく、見る者も緊張させたこの終盤2ホール。「昔から親にも『ハラハラドキドキのゴルフで心臓が痛くなる』って言われてきてたんですよ」と笑う。もちろん「ただカットラインを通過しただけなんですけど」という思いもあるが、緊迫した状況のなか、底力を見せたことには変わりはない。

「あしたは上にいくしかない。ビッグスコアで上位を目指して頑張ります。またハラハラドキドキさせますよ(笑)」。とんでもない急降下から始まったジェットコースターラウンドだったが、最後は冗談とともに締めくくることができた。次はトータル2オーバー・32位タイから大きく再浮上していくドラマを見たい。(文・間宮輝憲)

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