
ゴルフの世界ランキングとは?「世界ゴルフランキング」ポイント獲得の仕組み【男子プロゴルフ】
3.LIVゴルフと世界ゴルフランキング
LIVゴルフは新しい組織ですが、その大会では世界ランキングのポイントを取得できません。
当初は米国内の反発もあり、LIVゴルフ参加者はPGAツアーに参加できず罰金まで科されました。また、ジャック・ニクラウスとタイガー・ウッズが高額オファーでの移籍を蹴ったことでも話題になりました。
LIVゴルフはサウジアラビア出資の新組織
「LIVゴルフ(リブゴルフ)」は、2021年に発足したサウジアラビア政府ファンド出資の新しい組織です。グレッグ・ノーマンが代表を務め、「LIV」にはローマ数字で「54」という意味があります。由来は明言されていないようですが、「スコア54は18ホール・パー72のコースで全ホールバーディの理想的なプレーである」とするノーマンの言葉にちなんだともいわれています。また、スコア54の達成者には5,400万ドル(約83億円)の賞金を贈呈するとも発表されました。
LIVゴルフには、チーム戦と個人戦の2つのタイトルがあります。アメリカ・アジア・サウジアラビアなどを転戦し、大会優勝者には破格の賞金が与えられます。例えば2022年の賞金総額は1大会総額2,000万ドル(約30億円)、団体戦は500万ドル(約7.7億円)、さらに最終戦のチーム戦では3,000万ドル(約46億円)でした。
LIVゴルフ所属の主なプロゴルファー
主なLIVゴルフ所属ゴルファーは以下のようなメンバーです。
■ダスティン・ジョンソン
■ジョン・ラーム(2024「ザ・セントリー」優勝)
■ティレル・ハットン
■ブルックス・ケプカ
■キャメロン・スミス
■フィル・ミケルソン
■ホアキン・ニーマン
■ブライソン・デシャンボー
■テイラー・グーチ
かつての世界ゴルフランキング1位や、2024年のPGAメジャー大会もにぎわす有力選手たちが多く所属しています。
LIVゴルフ所属選手は世界ゴルフランキングで上位に入ることが難しい
2024年3月、LIVゴルフは世界ゴルフランキングポイントの獲得申請を取り下げました。発足当時の反発が根強く残る中で続けられた交渉でしたが、結局は難しいとの判断で取り下げたようです。PGA側の理由としては、他ツアーとのフォーマットの違い(54ホールで予選落ちなしの大会形式)が挙げられています。
現在LIV所属選手は、特別招待や優勝歴でPGAツアーなどに参戦しています。ただし現状LIVツアーではポイントを得られないため、世界ゴルフランキング上位を目指すことは難しい状況といえるでしょう。
多くのLIV所属選手がPGAツアーへの出場資格を保有している
LIVゴルフ所属の6選手は、4大タイトルの一つである「マスターズ・トーナメント」への優勝歴による生涯出場資格を持っています。
■ダスティン・ジョンソン(米国)
■パトリック・リード(米国)
■バッバ・ワトソン(米国)
■フィル・ミケルソン(米国)
■シャール・シュワーツェル(南アフリカ)
■セルヒオ・ガルシア(スペイン)
さらに「大きな大会の優勝者」という要件を足すと、出場資格を有する選手はさらに増えます。(重複を除く)
■ブライソン・デシャンボー(直近5年間の全米オープン優勝者:2020優勝)
■ジョン・ラーム(直近5年間の全米オープン優勝者:2021優勝)
■キャメロン・スミス(直近5年間の全英オープン優勝者:2022、直近3年間のザ・プレイヤーズ・チャンピオンシップ優勝者:2022)
■ブルックス・ケプカ(直近5年間の全米プロゴルフ選手権優勝者:2019及び2023)
このようにLIVには有力選手が多いため、ほかの大会にも、このような枠を利用したり招待されたりして参戦しています。ポイントが多く取れる大会で上位に入れば、世界ゴルフランキングにも名前が載るでしょう。ただし獲得の機会が少ないため、順位の保持は難しいかもしれません。
4.「世界トップのゴルファー」はだれ?
さまざまなランキングがあるものの、最近の世界トップゴルファーは「スコッティ・シェフラー」といえるでしょう。(2024年4月23日現在)
シェフラーは2024年に入ってからも快進撃を続けています。3月の「アーノルド・パーマー招待」で大会2勝目を挙げ、「ザ・プレーヤーズ選手権」では大会史上初の連覇、4月にも「マスターズ」で2勝目を飾りました。
・世界ゴルフランキング1位:スコッティ・シェフラー
現在1位のシェフラーのポイントは15.0135ポイントで、2位のローリー・マキロイは7.3642ポイント。すでに2倍以上の差がついています。(2024年4月23日現在)
【最新の世界ランキングはこちら】
・FedExCupポイントランキング1位:スコッティ・シェフラー
FedExCupポイントランキングでも1位で、3,215ポイントを獲得しています。(2024年4月23日現在)
FedExCupポイントランキングは米PGAを主戦場とするプロのためのポイントで「PGAツアーポイント」ともいわれます。欧州やアジアなどのツアーは加味されません。ポイントランキング上位125名が「フェデックスカップ・プレーオフ」に進みます。シリーズは4大会で構成され成績の下位の選手を段階的にカットし、最終戦のツアー選手権で年間チャンピオンが決定されます。
・全米賞金ランキング1位:スコッティ・シェフラー
全米賞金ランキング(PGA賞金ランキング)でも、$15,093,235(約23.3億円)を獲得して1位です。賞金は2024年から1月~12月の期間でカウントされるようになったので、4か月での結果です。10大会に参加して「ザ・プレーヤーズ・チャンピオンシップ」、「アーノルド・パーマー招待」、「マスターズ」、「RBCヘリテージ」の4大会で優勝しました。(2024年4月23日現在)
・LIVゴルフ賞金ランキング及びポイントランキング1位:ホアキン・ニーマン
LIVゴルフの賞金ランキング及びポイントランキング1位は、ホアキン・ニーマンです。賞金$9,448,000(約14.4億円)、ポイントは105。LIVゴルフツアー5戦での成績です。世界ランキングは85位。
チームとしては、ジョン・ラーム所属の「Legion XIII」が1位です。(2024年4月23日現在)
・生涯獲得賞金ランキング1位:タイガー・ウッズ
生涯獲得ランキングでは、タイガー・ウッズが$120,999,166(約187億円)で1位です。2位のローリー・マキロイは$81,810,229(約126億円)なので、圧倒的な差があります。メジャー選手権優勝15回(歴代2位)、史上2人目のトリプルグランドスラム達成、世界ゴルフランキング683週1位など、ほかにも驚異的な記録を達成しています。
ちなみにスコッティ・シェフラーは8位、$61,258,464(約94.8億円)を獲得しています。(2024年4月23日現在)
2024年4月現在の「日本トップのゴルファー」は松山英樹
「日本の」ということなら、松山英樹選手がトップといえるでしょう。
■世界ランキング15位 3.643ポイント
■全米賞金ランキング5位 $6,007,495(約9.3億円)
■FedExCupポイントランキング6位 1,325ポイント
■生涯獲得賞金12位 $50,171,691(約77.6億円)
■日本人メジャー初優勝(2021年マスターズ・トーナメント)
2024年は「ジェネシス招待」で優勝し、さらなる活躍が期待されています。
5.まとめ
世界ゴルフランキングは基準を満たした大会の成績によってランク付けし、有力選手たちが多く参加するLIVゴルフツアーの成績は除外されています。そのため現状、男子プロゴルフの世界ランキングを示すシンプルな指標はないといえるでしょう。ただし、だからこそ同じ大会に出た際のスコアにはより関心が持てて、また新しい楽しみ方もできるのかもしれません。
各選手、各ツアーのランキングはALBA Netでも随時更新して掲載しています。ぜひご覧ください。
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