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クラブハウス全面禁煙が増えているけど、吸わない権利があれば吸う権利だってあるのでは?【ゴルフ場の喫煙問題に賛否両論】

イラスト・山本彩芽 写真・Getty images

ある地方都市のエリア内で名門と呼ばれているゴルフコースでの出来事。メンバー用のロッカーを使えることになり、メンバー専用エリアに入ってビックリしました。少し煙っていてタバコの匂いがしたのです。

ロッカーに挟まれた空間に応接セットがあって、机の真ん中には大きな灰皿。四人の男性がタバコを吸い、笑いながら楽しそうにしていたのです。それを見ながら、ロッカーでシューズを履き替えました。〝昭和にタイムスリップしたみたいだなぁ〞。何とも懐かしく思いました。
 
僕は喫煙者なので、不愉快には思いませんでした。プライベートな空間なら、こういう自由はあっても良いし、むしろあるべきだと感心したのです。
 
支配人に話を聞くと、メンバーだけの空間なのでメンバーの意見で喫煙可能ということにした、ということでした。「自慢をする気もありませんし、問題提起のつもりもないので、記事に書くとしてもコース名が特定できないようにお願いします」と低姿勢でした。
 
現在、ゴルフに関するあらゆるケースでタバコが吸える場所はどんどん少なくなっています。これは余談ですが昭和の時代には、テレビのトーナメント中継で、プロゴルファーがティーイングエリアでタバコを吸っているシーンを頻繁に見かけたものです。
 
クラブハウス内全面禁煙というコースも多くなりましたし、コース内でも灰皿を撤去して売店の前だけなどに制限するケースも増えています。受動喫煙と防火対策が理由で、これも時代の流れです。
 
禁煙を厳しくしていくと、隠れて喫煙したタバコの吸い殻のポイ捨てが多くなり、掃除するというケースが増えて、手間が数倍になってしまったという管理スタッフの苦労話もよく耳にします。僕の肌感覚でも、安価なコースの方が禁煙が進んでいる反面、隠れて喫煙する人が多く、吸い殻がたくさん落ちているイメージがあります。
 
関東でもキャディ付きのコースで、カートの灰皿の周辺という条件でプレー中の喫煙を昨年から再びOKとしたコースもあります。これも隠れて喫煙する人が絶えず、防火対策という観点で決めたということでしたが、ゴルフ場のホームページにもその決定は書かれていません。熱心な禁煙推進派に攻撃されるのを懸念してのことだそうです。
 
ゴルフコースはサービス業でもありますので、コース側からすれば、喫煙者のゴルファーにも吸わないゴルファーにも満足して欲しいのです。表向きはクラブハウス内全面禁煙ですが、喫煙者用に喫煙可能なコンペルームを個室代わりに使用できるプランが用意されているケースなどは、徹底した分煙の取り組みとして評価されるべきだと個人的には思います。
 
吸う人も吸わない人も、互いに気を遣ってゴルフを楽しむ時代。問われているのは、心配りとマナーです。吸う権利、吸わない権利は平等です。やはりポイントになるのは、他人に迷惑をかけないということではないでしょうか。
 
ガチガチの規則を作るよりも、柔軟な対応で一石二鳥を狙うファインプレーのような対応が増えていくことを祈るばかりです。(文・篠原嗣典)
 
篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験しゴルフと恋愛のために生きると決意。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
 
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