• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 姉妹2週連続V→プロテスト免除へ「意識はあります」 アマ吉田鈴の窮地を救った“バンザイバーディ”

姉妹2週連続V→プロテスト免除へ「意識はあります」 アマ吉田鈴の窮地を救った“バンザイバーディ”

名門・和合で堂々プレー。アマチュア吉田鈴が4位発進。(撮影:福田文平)

<RKB×三井松島レディス 初日◇12日◇福岡カンツリー倶楽部 和白コース(福岡県)◇6299ヤード・パー72>

両手を高々とあげてバンザイ! アマチュアの吉田鈴(日本ウェルネススポーツ大2年)が、“窮地”を一振りでバーディに変えた。

そのシーンは後半14番パー4。ドライバーで打ったティショットがアゴの高い右のバンカーに入り、2打目は出すだけ。「左からの風をあまり意識してないケアレスミス」でピンチを招くことになった。直前の13番で初のボギーを叩き、流れも悪い。「なんとかパーで…」と願うホールになってしまった。

だが、本人も驚くシーンが、直後にやってくる。続く3打目は、グリーン面が見えないほどの打ち上げで、ピンまで残り67ヤードという状況。ここで58度のウェッジを振り抜くと、ギャラリーからの『入れ!』の声に後押しされるように、エッジ付近に着弾したボールがカップに吸い込まれた。苦しい場面で生まれたショットインバーディ。バンザイの後は同伴競技者の岸部桃子とハイタッチし、喜びを爆発させた。

アマチュアという肩書だが、これまでにプロテストを2度受験。いずれも最終まで進みながら、合格には手が届かなかった。2004年2月21日生まれの19歳で、同学年には川崎春花、尾関彩美悠といったツアー優勝者もいる。それだけに「同世代も勝っているし、優勝争いに絡まないといけない」という思いは強い。

「焦りはないけど、早く追いつきたい」と、中学3年生の時から指導を受けるツアー7勝の今野康晴とは「トーナメントにも慣れてきて、トップ10入りしたい。そこに入るには予選通過ギリギリではなく上位で。もっとシビアにゴルフをしよう」という話し合いもしてきた。プロと同じ気持ちでコースに立っている。

12番パー3では、ティショットをピン左の傾斜に当て、上りの1.5メートルまで寄せる“妙技”も見せた。本人は「あれは若干つかまってしまったけど、運よく寄ってくれました。めちゃめちゃラッキー」と振り返るが、何度も拍手を引き出す初日にした。終盤はピンチもしのぎながら「68」の好ラウンド。首位と3打差の4アンダー・4位タイで滑り出した。

先週は3学年上の姉・優利がメジャー優勝。その瞬間は練習場にいて、スマートフォンの画面のなかで見届けた。「すごいし、うらやましい気持ちもあります」と、その姿はやはり刺激になる。「私もああなりたいし、ゴルフだけでなく人間的にもポジティブで強気で、見習うところがある。姉のほうはアプローチの種類も多いし、小技に自信を持っていてアグレッシブ。私はショットに自信があって、セカンドショットのコントロールとかは自信があります」。性格もプレースタイルも異なる姉の背中を追っている。

昨年は2打差、一昨年は1打差でプロテストに落ちていることもあり、“一打の重み”は痛いほど理解している。「ここは決めないといけないというパットを外すのが、落ちる原因。極力、練習と同じスイングをしないと。飛距離も出ないので、ショートゲームは人よりうまくならないといけないし、ライン読みもシビアにやってきました」と、パッティングを大事にプレーする。

ラウンド中も、自分の順番を待つ間はグリーンとエッジの境目の真っすぐなラインを見つけ、そこで直線的なストロークをチェックするため、何度も素振りをしてからアドレスに入る。さらに、この日はグリーン奥から“OK”の位置につけてパーを拾った11番などアプローチも安定していた。開幕前日には姉にアプローチの打ち方を教えてもらうなど、伸ばしたいという意識も強い。

「まだ3分の1しか終わってないので、これからが重要」。史上8人目のアマチュア優勝を成し遂げれば、テスト免除でプロの道が開ける。これについては本人も「(意識は)あります」。目を逸らさずにプレーを続ける。「最終日のバックナインでスコアを伸ばすことが、これからのゴルフ人生で大事になってくると思っています」。最後まで姉譲りの“強気”で、最高の結果を目指していく。(文・間宮輝憲)

関連記事