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2年前の優勝キャディが体調不良で当日ダウン 稲見萌寧はトラブル乗り越え大会2勝目へ「最初は心細かったけど…」

急きょキャディを務めた真栄城輝也氏とナイスコンビネーションを披露した(撮影:上山敬太)

<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 初日◇7日◇パサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(長崎県)◇6755ヤード・パー72>

9月に入ってもおさまる気配のない猛暑。大会初日のコースの気温も31.5度まで上昇した。そんな中でのプレーは選手だけでなく、キャディにとってもタフな戦いとなる。5アンダー発進を決めた稲見萌寧は、急きょのキャディ変更というトラブルを乗り越えて、好ラウンドを続けた。

もともと、2021年に今大会を優勝した時にもキャディを務めていた宮崎晃一氏に依頼。開幕前日までコースでともに調整していたが、当日になり体調を崩した。「先週から熱中症気味だったらしく、月曜日は13時間くらい睡眠をとったって言ってました。火曜、水曜日は『やらなくてもいいよ』って言ったんですけど、無理をしたみたいで」。こうして、試合当日のキャディ探しが始まった。

そこで白羽の矢が立ったのが、今週、稲見のトレーナーを務める真栄城輝也氏。初めてのキャディ業務だが、「クラブを渡すと、すぐに取ってくれて、拭いてバッグに入れてくれたり、本当に初めてなのかなと思うくらい。最初は、全部ひとりでやらないといけないのかなと心細かったけど、少し経ったら大丈夫でした」と、信頼を置いた。もともと稲見は距離計測器なども駆使しながら、風などもセルフジャッジしていくタイプだが、困った時の相談相手を失った状態。「プレッシャーをかけないように」と、真栄城氏を気遣いながらの18ホールでもあった。

そのなかで、ホールアウト時点の順位はトップタイ。このままいけば3月の「Tポイント×ENEOSゴルフ」以来の首位発進を決める。「練習ラウンドとプロアマでは、バーディを獲れる気配がなくて、『どうやって回ればいいかな』と思ったくらい難しかった。スコアが出せるんだな」というほど、本人も驚きの結果だ。午前組でもしっかりと風が吹いたが、あと10センチでホールインワンだった5番パー3から3連続バーディを奪うなど、ハイパフォーマンスを見せた。

今季序盤、特に悩みの種だったショット面も、新たに指導を受ける柳橋章徳コーチとともに取り組むスイングがいい方向に進んでいる。「前は手首と体を固めて、同調させながらゆっくり上げるスイングだったけど、今は手首をやわらかく使ってスピードもアップしました」。意識までガラリと変え、今季初勝利を目指すなか最高の滑り出しを切った。「毎日上位で、優勝争いに加われるように頑張りたい」と、このまま大会2勝目に近づいていきたい。

この日は山下美夢有のエースキャディ・松村卓氏も体調不良により救急搬送され、ラウンド途中でマネジメント関係者がバッグを担いだ。「おそらく熱中症。暑さもまだ続いているので、しっかり対策をして。集中力も落ちると思うので考えながら、少しでも伸ばしたい」という言葉の通り、風、傾斜の強いグリーンとともに猛暑も相手にするメジャー大会が進んでいく。(文・間宮輝憲)

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