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21人がプロテスト合格! おめでとう、でもここからです【原田香里のゴルフ未来会議】

2023年度は21人の選手がプロゴルファーとなった(撮影:福田文平)

ゴルフを愛するみなさん、こんにちは。11月に入ったというのに、昼間は真夏日、朝晩冷え込む、という日がありますが、お元気でしょうか。寒暖の差は思いがけず体調に影響するものです。どうぞご自愛の上、ゴルフを楽しんでください。

さて、今週の話題は先週終わったJLPGA最終プロテストです。厳しい戦いを潜り抜けた選手たちが合格しました。通算5アンダー・19位タイまでの21人が晴れてJLPGAのメンバーとなったのです。

トップ合格の清本美波さんの通算17アンダーというスコアもそうですが、合格ラインが通算5アンダーという結果には「すごいなぁ」と素直に思いました。会場となった岡山県のJFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部は、その名の通り瀬戸内海に面したリンクスコースです。国内男子ツアー「ミズノオープン」が行われたこともあります。

JLPGAとの縁も深く、2020年に日本女子プロゴルフ選手権の舞台になっているので、テレビなどでその光景を見た記憶のある方もいることでしょう。2019年にも、最終テストがここで行われています。22年にはQTファイナルステージの会場もここでした。リンクスらしく強い風が吹くのが当たり前、というようなコースです。ただ、今回は、このコースにしては風がさほど強くなく、グリーンもまずまず止まったようなので、スコアが伸びたのだと思います。

今回合格した選手たちも、年齢も経験もさまざまで、ゴルフが生涯スポーツであるということと、その奥の深さがよくわかります。例えば、トップ合格の清本さん、2位タイの馬場咲希さんなどは18歳で、まだ現役高校生で、一発合格となりました。一方で、苦労を重ねて合格した人たちもいます。2位タイだった石田可南子さんは、29歳。4位の高木優奈さんは25歳で、いずれも6回目(最終プロテスト受験回数)でやっと合格にこぎつけました。

8位タイの浅田実那さんは25歳で2度目(最終プロテスト受験回数)の受験ですが、途中、ゴルフを離れ、会社勤めをしたことがあるそうです。それでもゴルフへの気持ちが強く、去年の9月に本格的にカムバック。それから1年余りで合格しています。

JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)理事時代、長くプロテストを担当してたこともあり、顔見知りの選手が何人もいます。今回、合格した高木さんもその一人です。彼女は、単年登録でツアーに出ていた時期もあるから、もちろん話したこともありました。私が理事を辞めてから、初めて出場した日本女子プロゴルフ選手権(21年、茨城・静ヒルズCC)の予選ラウンド2日間、同じ組でプレーしたという縁もありました。

今年のプロテスト第2次予選の少し前に、その高木さんから電話をもらいました。少しだけパッティングに悩みがあったみたいで、相談の電話でした。その流れから一緒にラウンドもしてたくさん話もしました。それだけに、合格して本当に良かったな、と安堵しました。高木さんだけでなく、合格したみなさんには心から「おめでとう」と言いたいです。

ただ、覚えていてほしいのは、プロゴルファーとしては「ここから」だということ。どういう心構えでどう過ごしていくかは自分次第です。プロテストを受けている選手は、みんなツアーで戦いたいと思っているはずです。これから辛いこともたくさんあると思いますが、いまの強いその気持ちを、いつまでも忘れないでください。

また、プロテストのYouTube配信という初めての試みも行われていました。定点で撮影しているものが配信されてたのを、私も見ていました。プロテストから興味を持っていただくのは素晴らしいことだと思います。一方で、配信があるということは、当たり前ですが色々なことが「見られる」ということです。見られて恥ずかしくないプレー、ふるまいをするのは当然です。試合の配信でも同じなのですが、テストという“入口”も公開することで、その覚悟をしっかりと選手も協会(JLPGA)もする必要があるでしょう。

例えば、今回気になったのはプレーのペースです。定点なので次の組がなかなか来ないで間が空いていれば「スロープレーなんじゃないの?」と感じました。スロープレーに関しては、プロテストだけではなく、レギュラーツアー、下部のステップアップツアーでも以前から問題になっていました。

私が理事になる前から、JLPGAはプロテスト受験生にマナー講習、ルール講習をしていました。私が理事だったころでお話すると、担当理事や競技委員がそれぞれの分野でプロを目指す受験生に教えるのです。ゴルフ場への出入りの際の服装や、クラブハウス内での行動。ルールに関してはまちがいやすいものなどを、机上だけでなく実際にコースに出て講習していました。

スロープレーに関しても、ちょっとしたことで時間短縮になるなど、先輩ゴルファーとしてのアドバイスもしていました。私自身もプレーは速いほうではなく、色々とアドバイスを頂きながら、何秒かずつでも短縮するように気を付けていたので(汗)。スコアカードの字が読みにくいとまちがいが起きやすいので、きれいに書き直す、と言うようなこともしていたのです。

現在、JLPGAの受験生への対応も、変化しているはずです。時代とともに、変わりゆく者もありますが、変わってはいけないものもあるはずです。その中で、いいほうに向かって行くといいなあ、と心から思います。プロゴルファーとは何か、どうあるべきか。選手個人個人はもちろんですが、協会も含めて改めて考える必要があるのではないでしょうか。

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