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全米予選会の“スロープレー裁定”で波紋 ドイツ選手が訴え「こんなやり方ではダメ」

1罰打を受けて不服を訴えたアリーン・クラウター(写真は2024年)(撮影:GettyImages)

13日にフロリダ州で行われた「全米女子オープン」の最終予選会。ドイツ出身の25歳、アリーン・クラウターはトータル7アンダー・4位タイとなり、残り1枠をかけた7人プレーオフに臨むも敗退。惜しくも第1補欠となった。

だが、その敗退の背景には、思いもよらない“1打の罰”があった。クラウターは第1ラウンドでスロープレーによるペナルティを科されていたのだ。

「あの1打がなければ、私はストレートで本戦出場を決めていた。正直、打ちのめされました」。クラウターはそう言って悔しさをにじませた。

クラウターは常にスピードを意識してプレーし、自ら「急ごう」と声をかけるなど、いわゆる“レディゴルフ”を徹底していた。しかし9番ホールを終えた直後、ルールオフィシャルから「チェックポイントを逸したため、組全員に1打罰が科される」と通達された。

この裁定に納得がいかず、「前の組がまだグリーンにいた」と主張。さらに何度もショット待ちの状態が続いたことを理由に異議を申し立てたがが、却下された。

さらにショッキングだったのは、スコア提出時に事情を説明した際のオフィシャルの対応だった。「『これが申立て。でももう終わりだよ』と笑いながら言われた。私のキャリアを左右するかもしれない競技で、あまりにも軽率な対応に思えた」。

この最終予選会はフロリダ州ゴルフ協会のルールに基づいて行われており、協会によればクラウターの組は前の組から19分遅れ、許容時間を20分以上超過していたという。この日は合計9人がスロープレーで1打罰を受け、ある1組に至っては午前と午後の両ラウンドで違反し、計12打のペナルティが科された。

クラウターは「USGA(全米ゴルフ協会)が直接運営する予選では、USGA自身のルールを採用すべき」と主張している。

そんな中、クラウダーにUSGAから吉報が届いた。出場予定選手の辞退により、補欠から繰り上がりで本戦出場が決定した。「ようやく報われた気がする。スコアを見れば、私は最初から出るべきだったと思っていた」。

そして最後に、こう訴えた。「こんな経験は誰にもしてほしくない。私は速くプレーすることには大賛成だけど、こんなやり方ではダメ」。近年はLPGAをはじめ、ゴルフ界全体でスロープレーに対する罰則が厳格化されつつある。今回の一件が、より公平で実効性のあるスロープレー対策の改善につながるのか、注目される。

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