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練習場で気になる動き… 石川遼の理想は「イン・トゥ・インでのドロー」

手元を背面に動かしてから、右肩を前に出して素振りを行う石川遼。この素振りを何度も行ってから、実際に球を打ち続けていた(撮影:ALBA)

<関西オープン 事前情報◇12日◇泉ヶ丘カントリークラブ(大阪府)◇7038ヤード・パー71>

開幕を翌日に控えた12日。石川遼が練習を行い、大会前のインタビューに応じた。開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で3位に入り、好調をキープしている石川は、ここ3年間大幅なスイング改造に取り組んでいる。

「この3年でスイングをほぼ固まったと思います。あとは練習を地味にコツコツ行って、そこに自分の感覚を吹き込む作業になっていく。スイングの型は決まっていると思います。あとはマネジメント、長いクラブの精度、アイアンの距離感など細かいものを今後は固めていきたいですね」

昨年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」で3年ぶりの優勝を飾り、スイング改造に対しての手ごたえは上々のようだ。

「今まで僕は手元が浮いてしまうことが、ロングショットで悪影響を及ぼしていました。だからそのために改造を行ったんです。このミスを直そうと7~8年やってみて、全然ダメでしたが、今のコーチと一緒にコツコツとやって改善されてきたと思います」

以前はインパクトで手元が浮き、その後に手首を返して生まれる引っかけに悩まされた。球がつかまりすぎないように、手で逃しつつ方向性を高めていたが、それは不本意なスイングだった。

トップで(シャフトが左を向く)レイドオフの形を手首で作ったら、そのまま体の回転で振る素振りを練習場で繰り返す石川。今までタメを作ってリリースする(縦振りに近い)アップライトのスイング軌道だったが、それでは手元が浮いてミスにつながっていた。「それを(横振りに近い)フラットな軌道にすることで、インパクトを線で捉えるようにして手元の浮きを抑えるようにしました」。

また、練習場での石川を観察していると、不思議な動きが印象的だった。インパクトで右肩を前に出して左に振る素振りを行っていたのだが、これはいわゆる“カット打ち”と言われる動き。これではスライスのミスが出そうなものだが……。

「特にPGAツアーで理想とするプロのスイングはないですが、(スウェーデンの)アレックス・ノレンプロなどは、インパクトで右肩を前に出してインに振り抜きます。ダウンスイングで早めに手元を背面に下ろしたら、そのまま振るとインアウト軌道になる。僕は右肩を前に出してインに振り抜きたいんです。つまり、緩やかなイン・トゥ・イン軌道で振りたい。本当に強い選手はインサイド・アウト軌道でドローを打つプロよりも、イン・トゥ・インでドローを打てるプロだと思っています」

インサイド・アウト軌道で捉えるとサイドスピンが増えてミスの確率も高まるが、緩やかなイン・トゥ・イン軌道で球をつかまえて打てれば、ドローだけでなくフェードも自在に打てるようになる。弾道を意図的に打ち分けられれば、マネジメントの幅は圧倒的に広がるというものだ。

理想を探求する姿はまさしく修行僧のようだが、石川のスイングを追い求める旅もそろそろ終わりが来るのかもしれない。関西オープンでの石川遼のショットから目が離せない。(文・加藤雄一郎)

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