
入谷響がルーキーV一番乗り! 完全に顔が右を向く個性的スイングでぶっ飛ばせる理由は?【優勝者のスイング】
「ニチレイレディス」で、ルーキーの入谷響が初優勝を飾った。2005年生まれの19歳で、現在ドライビングディスタンス258.2ヤードで2位につける飛ばし屋。近い将来、米ツアー挑戦も視野に入れているというスイングをプロコーチの南秀樹が分析する。
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トップで顔が完全に右を向く、個性あふれるスイング。アマチュアの場合、その個性で苦労するケースがありますが、入谷さんはじめ練習量が豊富なプロは個性を生かして安定感につなげています。
顔が完全に右を向くほど体を深く回すトップは、ボールから目をきってしまうので普通なら「当たらなくなる」と感じる動き。個性的な形ですが、そこからの捻り戻しがとても上手いです。腰の動きも大きく、胸の面が潰れるほど体を回しながらも、ナチュラルにクラブを落とし、ダウンスイングは教科書的な姿勢に戻ります。クラブもバックスイングではややタテに上がりますが、切り返し以降はすぐにオンプレーンに。だから再現性高くショットできるのです。
飛距離につながっているのが、インパクトの動きです。体重は左に乗りつつも、上半身は右に残り、右軸左体重で、クラブと体が引っ張り合いスピードを生んでいます。また、フォローでは体が回り切って、右足はツマ先立ちで完全に左足に乗っている。体が1回転するような運動量と、理想的なインパクトの引っ張り合いで無駄なく力を飛距離に変えていると感じます。
入谷さんのようなインパクトでの引っ張り合いは、飛距離を伸ばすヒントになります。クラブと体が引っ張り合いスピードを生むには、インパクトで体重は左に乗りつつ、頭がボールよりも後ろに残っている、“右軸左体重”がマストです。このポジションを体感するには、クラブを持たずにアドレスの姿勢を作ったら、左手だけフォローの位置へ、正面から見て時計の3時の位置に持って行き、右腰を押し込み、左体重を作ります。次に右手を下から回して左手の位置へと動かします。こうすると、右軸左体重の理想的なインパクトの動きが体感できるのです。
普段、体が左に突っ込んでしまう方は、左腕を出していく感覚が薄く、右手が強い上に上から入っている可能性があります。下から回し、右肩が残る感覚をつかんでください。また右サイドが下がり「クラブが下から入る」という人は左体重になれていません。左足裏で地面をつかむように、足裏の感覚を大事にすると、スムーズに左足に乗れて右肩が下がりにくくなります。
■入谷響
いりや・ひびき/2005年生まれ、愛知県出身。身長160センチとやや小柄ながらも豪快なスイングから放たれるドライバーショットは平均約260ヤード。25年の「ニチレイレディス」にて初優勝を挙げた。加賀電子所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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