逆転負けの稲森佑貴 “必勝プラン”を狂わせた豪雨

突然の雨に泣いた稲森佑貴。初の完全優勝はならなかった(撮影:ALBA)

<横浜ミナトChampionship Fujiki Centennial 最終目◇6日◇横浜カントリークラブ(神奈川県)◇7231ヤード・パー71>

稲森佑貴が突然の雨に泣いた。初日から首位を保ち、自身初の完全優勝を狙った最終日は3バーディ・4ボギーの「72」と振るわず。トータル9アンダー・5位タイに終わった。

稲森の最終組がスタートした約30分後の午前10時22分、降雨によるコースコンディション不良のため競技が一時中断。3時間22分の中断を挟み、午後1時44分にプレーを再開したが、一時はグリーンに水が浮くほどの豪雨により、最終日のコース状況はそれまでと一変していた。

稲森は出だしの1番でいきなりボギー。続く2番ですぐにバーディを獲り返したが、ここで突然の豪雨と強風が吹き荒れ一時中断に。リズムをつかめないまま再開された3番をボギー、7番パー3でもボギーとし、優勝争いから脱落した。

戦前、「ここはホームコースのようなもの」、「原点回帰」など、横浜CCは自身のプレースタイルに合っていることを自覚するような言葉を残していた。勝算は十分にあったはずだったが、大量に降り続いた雨が、稲森の必勝プランに狂いを生じさせた。

連日の猛暑の影響もあり、硬く締まったフェアウェイはティショットでランが多めに出る状態。飛距離の出ない稲森でも、いつもより飛んでくれる。そこに持ち味のショットの正確性があれば、圧倒的な飛ばし屋たちにも負けないはず。密かに優勝は狙っていた。

しかし大量の降雨でフェアウェイはやわらかくなり、3日目まで恩恵を受けていたランが出ない。こうなるとキャリーの出る飛ばし屋が圧倒的に有利に立つ。最終日のプレーを終えた稲森は、「雨が降ってウェットになったので、ティショットがランしなくなって、そこで飛ばし屋が有利になってきたなと。食らいつくのに必死でした」と、悔しさをにじませた。

大会のアンバサダーである丸山茂樹は、テレビ解説で「飛距離が出るということはアドバンテージなのは間違いない。でも稲森の『ショットの正確性は飛ばしに匹敵するアドバンテージ』です」と語っていたが、フィールドの状況が激変したことで、今回は対抗しきれなかった。

最後に、「ひたすら頑張るだけです」と話した稲森。長い番手で的確にグリーンをとらえる技術にさらに磨きをかけ、次戦のリベンジを誓った。(文・土屋裕一)

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