蛭田みな美は右回り、アマチュアは左回り。このスイングの違いとは? 【優勝者のスイング】
「CAT Ladies」で悲願達成となった蛭田みな美。18番ロングで行われた西郷真央とのプレーオフでは、ティショットを右ラフ、セカンドもフェアウェイに置くことができなかったが、3打目をピンそばにつけてバーディを奪取。右手を握りしめ小さくガッツポーツ、満面の笑みを浮かべた。そのスイングはとてもシンプルで、「アマチュアが真似できることが詰まっている」というプロコーチの長谷川哲也に、われわれも真似したいポイントを解説してもらった。
コンパクトなトップながら、ドライビングディスタンスは「245.5」ヤードで19位とツアーの平均を超える飛距離を持つ蛭田。正確性の高いショットも持ち味だ。ポイントは3つある。「右回りの軌道」、「ダウンの左ヒジのリラックス感」、そして「ボールをつかまえる動きがないこと」だ。
「プロや上級者は全員といっていいほど、右回りのスイングです。簡単にいえば、外に上げてインから下ろす動きで、蛭田さんもそう。またダウンスイングでは左ヒジにゆとりがあって、いい意味でリラックスしています。この余裕があると、“ちょっと逃がす”、“ちょっとつかまえる”といった最終的な微調整ができるんです。さらに、意図的にボールをつかまえる動き、インパクト付近で手首によるアジャストがありません。かと言って手首を固めている感じはなく、体全体でクラブをコントロールしているので、スイングの精度が高いのです」。
われわれアマチュアに多い悩み、クラブをインに上げてアウトから下ろす左回り(カット打ち)の軌道、腕に余計な力が入ってヘッドが走らず飛距離が出ない、インパクト前後で手首を返してフェース面が安定せず曲がるといったスイングとは正反対。だからこそ、ここにヒントがあるわけだ。
3つの動きは、どれも連動している。そして、この動きをマスターするためには、雑誌やフリスビーを使った素振りが有効だ。「ハンドルを握るように両手で雑誌を持ったら、バックスイングでは左に回しながら腕を上げていきます。切り返しでは、雑誌を左に回した反動を使って、今度は右に回します。この反動こそが再現性を高めるポイント。手首をやわらかく使いましょう」。
バックスイングで左に回せば、クラブは縦に上がり、プロや上級者のような右回りのスイング軌道になる。オーバースイングにならないのもメリット。また反動を使うことで毎回同じ動きがしやすく、少ない力でクラブを下ろせるので、余計な力が入らない。さらに正しいプレーンに乗せやすいので、フェースの動きが安定。インパクトでつかまえる必要がなくなるのだ。
雑誌をクラブに持ち替え、始動で手元がヘッドよりも先行するように動いていればOK。ややシャットで、コンパクトな位置にトップが収まるはずだ。秋のゴルフシーズンに向けて、ぜひ挑戦してみては。
プロフィール/長谷川哲也
深堀圭一郎のマネージャー兼キャディを務め、2年間国内外のツアーを転戦。2004年から本格的にゴルフインストラクターとしての活動を開始。DEPARTURE GOLFでレッスンする傍ら、最先端のゴルフ理論や指導メソッドを発信しているYou Tube「ゴルフレッスン動画のマイケルゴルフTV」のチェンネル登録者数は6万人を突破。
※データは8月21日現在のもの
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