• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 飛距離全盛時代に逆行!? 宮里優作はドライバーを短くして、今季初の優勝争い

飛距離全盛時代に逆行!? 宮里優作はドライバーを短くして、今季初の優勝争い

短くしたドライバーで高いフェアウェイキープ率をマークしている宮里優作(撮影:上山敬太)

<Sansan KBCオーガスタゴルフトーナメント 最終日◇27日◇芥屋ゴルフ倶楽部(福岡県)◇7216ヤード・パー72>
 
今シーズンの優勝者の顔ぶれを見ると、中島啓太、金谷拓実、蝉川泰果、平田憲聖と20代前半の選手がズラリ。賞金ランキングトップ4も同じ名前が並ぶ。少し前まで20代の選手が勝つことが難しかった国内男子ツアーは、明らかに世代交代の色を強めている。そうしたなか、この福岡決戦では今年初めて20代のいない最終日最終組となった。

そのなかのひとり、2017年の賞金王、43歳の宮里優作は新世代の若手たちとのゴルフの違いをひしひしと感じている。「いまの子たちは4日間通してスイングスピードが落ちないですからすごいなと思います。最終日にかけて飛距離が伸びているのが今の若い選手の特長かなと思います」。
 
若いときはもちろん、スイングスピードが落ちないときもあった。しかし、「道具の違いもあると思うんですけど、あそこまで飛ばなかった」という。さらに、「僕は野球やバスケットや陸上をやったりして作ってきたカラダなんですけど、彼らは最初からゴルフに特化したカラダなので、無駄がないというか、そういうのは見ててすごく感じますね」と、自身が育ってきた時代との違いを挙げる。
 
そして、蝉川に代表されるように、大型ヘッドドライバーで育った多くの若い選手は飛んで曲がらないドライバーショットを持っている。「彼らは曲がらないと思ってドライバーを打っていますよね。僕らは曲げて覚えているので」と左右の手で弧を描きながらドローとフェードの弾道を表現する。
 
そして、「大きいドライバーでもどうにかして曲げてまっすぐ生かしたいという癖があって、イメージがまだ追いつかない。その感覚の差はすごくある」と話す。宮里は一時期、ドライバーのコントロールに苦しみ、260ccの小さいヘッドを使っていたこともある。現代の主流は460ccのため、見た目はほぼフェアウェイウッドだった。
 
ドライバーの飛距離では張り合えない。だから宮里は、若手のティショットをあえて「見ないようにしています」という。見たらどうしても力が入ってしまうからだ。飛距離ではなく正確性と経験、マネジメントで勝負。試合のなかった2週前にはドライバーを45.75インチから45インチに「思い切って」短くした。
 
「いまは新しいドライバーがすごく良くて、短くしてもスピン量が変わらない。だったらミート率を上げたほうが曲がらず効率よく飛ぶんじゃないかと思って。プレッシャーがかかったときに曲がらないドライバーのほうが振れてくるしね」
 
その効果は今大会ではっきりと出ている。3日目のフェアウェイキープ率は85.71%で1位、3日間トータルでも69.05%で3位と安定。「振れば越せる」フェアウェイバンカーを「あえて狙わず」、3番ウッドなどで刻む作戦もハマっている。「アイアンの調子が良くなってきているので、アイアンに攻めさせる感じで、ティショットではあまり攻めずにいっています」。
 
そんなマネジメントで戦っている宮里にとって、今回は2年ぶり30回目の最終日最終組。ツアー通算8勝の実力者も、17年「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を最後に優勝から遠ざかっている。今シーズンはここまで13試合に出場してトップ10は1度もなかった。
 
「若手のおかげ。刺激になっている」。練習日には飛ばし屋の河本力や清水大成のスイングを撮影して、「どうやって下半身リードで打っているのかなと参考にしています。いつも何かしら盗もうとしている」と、若手のいいところを取り入れながら戦う43歳。最終日は同じトータル14アンダーで並ぶ47歳の小林正則、32歳のソン・ヨンハン(韓国)との組み合わせで6年ぶりの優勝を目指す。(文・下村耕平)

関連記事