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“最下位”ランク50位からの優勝 K・ブラッドリーの強さの源【舩越園子コラム】

PGAツアーのプレーオフ第2戦「BMW選手権」は、フェデックスカップ・ランキング3位の松山英樹が2日目のスタート前に腰痛悪化によって棄権する波乱があった。最終戦「ツアー選手権」に進出できるのは、ランキングの上位30名のみだが、松山の棄権がし烈なポイントレースにどう影響するのかが注目されていた。

しかし、終わってみれば、ランク1位のスコッティ・シェフラー、2位のザンダー・シャウフェレ、3位の松山の位置づけは変わらなかった。その一方で、ランキングが最も大きく変わったのは、BMW選手権を制し、通算7勝目を挙げた38歳の米国人選手、キーガン・ブラッドリーだった。

プレーオフ第1戦「フェデックス・セントジュード選手権では59位タイと振るわず、ランク50位以内に入って第2戦のBMW選手権へ進めるかどうかの瀬戸際に立たされていたブラッドリーは、「あの日曜日の夜は最悪の気分だった」と振り返った。

結果的にランク50位でBMW選手権に滑り込んだブラッドリーは「とてもうれしい。とてもハッピー。こうして戦えることに感謝の気持ちでいっぱいだ」。そんな謙虚でポジティブな心がブラッドリーのプレー姿勢をも前向きにしたのではないだろうか。

単独首位発進したブラッドリーは終始、冷静さを保ち、集中力も切らさなかった。最終日はバーディー発進したものの、1打差の2位から出てイーグル発進したアダム・スコットにいきなり並ばれた。しかし、スコットの波の激しいゴルフを傍目にして、ブラッドリーはパーを拾い続け、リーダーボードの最上段を死守した。

2位に1打差まで迫られ、一歩も引けない状態で上がり3ホールを迎えたが、17番(パー5)の第2打で見事にグリーンを捉えると、力強いガッツポーズ。イーグルこそ逃したものの、難なくバーディーを奪い、2位に2打差で18番へ。最後は1メートルのパーパットをわずかに外したが、ボギーパットを沈めたブラッドリーは優勝するためにはこれで十分と言わんばかりに、両腕を大きく広げ、勝利の喜びを満喫した。

この優勝でブラッドリーはランキングを50位から4位へ一気に上昇させて最終戦の出場権を獲得した。「ゴルフは本当に何が起こるかわからない。だからこそ、毎日毎週、必死にプレーしなければならない。今日は一日中震えていたけれど、僕が優勝する姿を、初めて父に目の前で見せてあげることができてとてもうれしい」。

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