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“姿勢”を正して調子アップ? 体力“すり減らし”女子の趣味は?【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】

中山三奈(左)と竹内美雪に注目(撮影:鈴木祥)

<地域みらいグル-プレディス佐嘉窓乃梅カップ 事前情報◇24日◇武雄ゴルフ倶楽部(佐賀県)◇6420ヤード・パー72>

国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは第7戦の「地域みらいグル-プレディス佐嘉窓乃梅カップ」が佐賀県の武雄ゴルフ倶楽部で開催される。シーズンも中盤戦に入り連戦が続いていく。そこで自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈に注目選手、今大会のキーポイントを聞いた。

■2戦連続トップ10 好調の要因は“姿勢よく”
 
今年のステップ・アップ・ツアーはここまで6戦が終了。複数回優勝者はまだ誕生していない。先週は工藤遥加が悲願の初優勝を遂げたが、今後もこの流れは続くのか。そこで、自身も今大会に出場する大和が、注目選手をピックアップする。
 
大和がまず名前を挙げたのが中山三奈。プロ転向は2009年。10年、11年にはステップ・アップ・ツアーで優勝を飾っている。レギュラーツアーにも参戦経験を持つがシード獲得は果たせずに、近年は不振にあえいだ。「この2戦でトップ10と調子はよさそうです」と大和。そんな中山に好調の要因を聞くべく、突撃した。
 
「昨年からトレーニングを見ていただいているトレーナーさんから立ち姿から見てもらうようになりました。まっすぐ立ったときに、体がフラットな位置に戻るまで1時間くらいかけてやるんです」と中山。ハードなトレーニングというよりは、しっかりと体のバランスを整えるところから見直していると言う。
 
さらに続ける。「トレーニングをすることによって、スイングとの相性がよくなって、しっかりとスイングできるようになりました。感覚が戻ってきた感じがして、グンとよくなりました」と上向きを実感している。実は、近年はドライバーに悩んでいたという中山。「3Wよりすこし大きいミニドライバーを使っていました」と大和が教えてくれたが、実際に中山はドライバーに不安を抱えていた。それが「安心して打てるようになりました。さらにパターもよくなってきました。昨年合宿したコースでパターが得意のシニアプロに教えていただいて、どんどんよくなりました」とかみ合ってきた実感に笑顔を見せる。
 
難コンディションに各選手が苦しんだ2戦前の台湾大会でも、最終日に「67」をマークして8位タイに食い込み、先週も9位タイ。「自信がだいぶ戻っている感じがします」と大和。姿勢の見直し、突然の出会いから、好調を取り戻した中山。12年ぶりの優勝に向けて邁進しそうだ。
 
■オフの日は「すり減っている(笑)」
 
もう1人大和が注目するのが竹内美雪だ。今季ステップ・アップ・ツアーは4試合に出場し、開幕戦では8位タイに入っている。先週も2日目を終えて8位タイ(最終16位タイ)と安定した成績を残してきた。「竹内さんはここまで予選落ちがありません」と大和。実際に竹内に聞いてみると、その理由を教えてくれた。
 
「アプローチが今まで本当に下手だったけど、めちゃくちゃいろいろと考えてやりました」と竹内。「とにかく練習量を増やして、上から(ヘッドが)入っていたのをレベルで入るようにして、よくなりました」と試行錯誤のすえ、リカバリー率を向上させることに成功した。
 
グリーン周りのレベルアップによって全体の底上げにつながっている。「アプローチをかなり練習してよくなったことで、予選落ちがなくなったのかなと思います。自信を持ってやっていくことができていると思います。アプローチが安定しているから『エッ』というようなことがなくなる。とどまることができるんです。最悪でもそこそこで回れる。アベレージが上がっています。あとはすこしショット、パットがかみ合えば、もっとスコアは出てくると思います」(大和)
 
そのショット面でも好調の理由が一つ。「今年のクラブがすごくよくて、ドライバーがブレなくなりました。安心感があります」とティショットの好調さも安定感の要因だ。
 
いつも笑顔を絶やさない竹内だが、大和が最後にした質問が実におもしろかった。『オフの日は何をしていますか?』(大和)。これに対して「体力がすり減っているので、とにかく寝る(笑)」という竹内の答え。「寝て体力回復です」と休養が一番らしい。「あまり楽しみはほしくない(笑)。ゴルフをやっていて幸せじゃないときもあるけど(笑)、けっきょくはゴルフが楽しいかなと思います」。今週は結果を残して、ぜひ楽しんでもらいたい。
 
■カギはパーオン 「ストーリー性のある18ホール」
 
そんな2人が挑む開催コースの武雄ゴルフ倶楽部は、これまでもステップ・アップ・ツアーの大会を開催してきたが、大和の見立てはどうなのか。「パーオンがカギを握ると思っています」と、グリーンを狙うショットの成否がスコアを出すカギとなりそうだ。
 
「距離も短くないですし、しっかりとコースマネジメントしていかなければいけません。特にグリーンを外したときが難しいですね。外してはいけないところに外せば、難易度が一気に増します。そこで差が出ると思います」。そこに風も加わり、さらには「アップダウンもありますので、しっかりとホールを見極めて、外してはいけない場所を避けながら攻めていく必要があります」。
 
ホールごとのメリハリも重要なポイントだと大和は説明する。「まず2番が要注意ホールで、ティショットも落としどころにバンカーがあって難しくて、グリーンも難しいです。あとは打ち下ろしの名物ホール、パー3の14番。風を計算して、そこをうまく乗り切れるかを考えながらになります」とホールごとの攻略法を綿密に立てなければいけない。
 
「ストーリー性がある18ホールなんです」。どういうことなのか。「1番はさらっと出て行って、2番でしのいで流れを作って、その後はバーディチャンスにつけていって、なるべくアンダーパーで前半を終える。後半は10番で耐えて、距離の短い11番でバーディを獲って、中盤は長いホールもあってまた耐えて、という感じで進めていきたいというのはあると思います」。各選手のホールバイホールのスコアの動きを見るとおもしろいかもしれない。
 
解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。

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