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男子版プラチナ世代? 2000年度生まれの平田憲聖が“同学年対決”制しツアー初優勝

プレーオフで戦った同い年の平田憲聖(左)と中島啓太(撮影:上山敬太)

<~全英への道~ミズノオープン 最終日◇28日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇7461ヤード・パー72>

2000年度生まれの新チャンピオンが誕生した。首位と5打差の5位タイから出た平田憲聖(ひらた・けんせい)が、6バーディ・ボギーなしの「66」をマーク。トータル17アンダーで並んだ中島啓太とのプレーオフに突入し、3ホール目にバーディを奪ってツアー初優勝を遂げた。1973年のツアー施行後400人目の初優勝というメモリアルVとなった。

“無心”で上位をとらえた。「優勝とか意識していなくて、14番までは何も考えずといったら変ですけど、通常のラウンドと同じような緊張感でプレーしていました」。5番でこの日初バーディを奪うと、7番まで3連続。9番、11番でもバーディとし、14番ホール付近にあるリーダーボードを見て首位に並んでいることに気がついた。

優勝を意識し始めると、16番パー3で4メートルのバーディパットを沈めて単独首位に立つ。17番パー4では3.5メートルのパーパットが残ったが、これをしぶとく沈めてパー。「これが一番大きかった」とトータル17アンダーでホールアウトし、一つ後ろの最終組を待った。17アンダーで回っていた安森一貴はボギーとして脱落。16アンダーで回っていた中島がバーディを奪ってプレーオフが決まった。

中島は、平田にとって大きな存在である。同じ2000年生まれで、中学3年時に「日本アマ」で2位に入り、長年ナショナルチームのエース格として活躍。大学時代にはツアーでアマ優勝を遂げ、世界アマチュアランキングでも2年連続1位に君臨した世代のトップ選手だ。

「いい意味の刺激しかない」と平田は常にその背中を追っている。プレーオフで直接対決が決まると「素晴らしいプレイヤーであることは分かっていましたし、そう簡単に勝てないと分かっていました。負けたくないと思ってプレーオフに挑みました」と勝ちを意識した強い気持ちで臨んだ。

1ホール目はともにバーディで、2ホール目はお互いにパー。ピン位置が切り替えられた3ホール目は、中島がティショットを左に曲げて池に落とすなどボギー。平田は右手前のガードバンカーからの3打目をグリーンの傾斜を利用して1メートルに寄せ、ウィニングパットを沈めた。敗者の中島に対して一礼。そして小さくガッツポーズを見せた。「中島選手に勝てたことは自信になります。ホストプロとして初優勝を挙げることができて、本当にうれしいです」と喜んだ。

今大会前まで2戦連続予選落ちとあって、まずは決勝進出が目標だった。「自分のゴルフの状況が良くなくて、今週初日から良くなった感じです」。その言葉通り、初日は「67」で2位タイの好発進。目標を上方修正した。

「飛ぶ方ではないので、マネジメントを考えてパーでしのいで、チャンスで(バーディを)獲るというのを強く思ってプレーしました」。ショットは飛距離よりも方向性重視。無謀な攻めをせずに、グリーンを外しても寄せやすいところを考慮して攻める作戦を貫いた。また、しのぐゴルフも持ち味の一つ。今季ここまでのリカバリー率は76.250%で5位。この4日間でボギーは3つで、パーセーブ率95.833%で1位と、平田らしいゴルフで勝ち取った。

大阪学院大3年時の2021年に「日本学生」で優勝し、その資格で同年のサードQTから受験。それを突破すると、ファイナルQTで2位に入りプロ転向した。プロ1年目の昨季、賞金ランキング58位で初シードを獲得。今年の目標は「ツアー初優勝」を掲げていたが、シーズン序盤に達成した。だが、「周り(の同年代)を見るとみんな勝っていますし、優勝争いもしています。そこまで早い優勝ではないと思います」と慢心はしない。これからも優勝を積み重ねるつもりだ。

2000年度生まれは中島のほかにも、昨年アマで2勝を挙げ、今季「関西オープン」でプロ初優勝を遂げた蝉川泰果や今季下部ツアーで2勝を挙げ、今大会7位に入った鈴木晃祐らがいる。女子では西村優菜や吉田優利、古江彩佳らがいわゆるプラチナ世代と呼ばれて活躍し続けている。男子の2000年度生まれも女子に負けず劣らず、ツアーを席巻する世代になりそうだ。(文・小高拓)

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