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ショートが続いても「届かそうと思わない」 石川遼のブレないグリーン上の“距離感”

石川遼がタッチについて語った(撮影:米山聡明)

<東建ホームメイトカップ 3日目◇1日◇東建多度カントリークラブ・名古屋(三重県)◇7062ヤード・パー71>

序盤の耐える時間を過ごして首位タイに立った。3日目に「66」で回ったが3つのボギーを上回る1イーグル・6バーディと獲ってスコアを伸ばした石川遼。前半6ホールはオールパーだったが、グリーン上で無理に打とうとしない姿勢が中盤以降につながった。

1番から6ホール連続2パット。しかもバーディパットのほとんどは10~30センチショートする形となった。ギャラリーからは「またショートやん」という声も聞かれたほど。6番ホールはカップ手前から2~3メートルの距離でも20センチほどショート。ゴルファー心理では、届かないパットが続いたら打ちたくなるものだが、石川にブレはなかった。

7番パー4は、ティショットでフェアウェイをキープすると、2打目はピンまで残り105ヤード。56度のウェッジで奥3メートルに乗せて、この日初バーディを奪った。「すごくチャンスだったけど、(ボールをカップに)届かそうとは思わなかったですし、わりと自然と(タッチが)合ってきてそれが時間かかったっていう感じですかね」。これまで6ホールを同じ感覚で打ったパットはしっかりカップに届いて沈んだ。この7番を皮切りにスコアが動くことになった。

ショートが続いた前半を振り返ると、「足に伝わってくる(グリーンの)感じが日に日に硬くなっていて、(スピードも)速くなっているのかなとズレが生じていました。グリーンが速く見える現象が起きていました」と、自身の感覚とグリーンの速さが合うまでに時間がかかったという。

石川のグリーン上での考え方はこうだ。「普段から常に決めた距離感で打っています」。ショートが続こうが、オーバーが続こうが「最初に思いついたスピードで打ちます。一つの距離感でしか打っていなくて、それを変えないで合ってくるまで待ちます」。ショートが続いていたからといって「インパクトの瞬間に強さを変えるのは一番よくない。普段やっていないことをやるので、のちのちずるずる引っ張っていく」とインパクトで微調整をすることで、自分の感覚もおかしくなりやすい。

7番でバーディを奪って以降のバーディパットはほとんど下りのライン。バーディを奪った15番は2.5メートルの上りのラインを流し込んだ。「久しぶりの上りがきて、その時は思ったより遅いとか、まったく考えていなかった。下りでタッチが合っていたら、自然と上りでもタッチが合っていた」。それまでに養われた感覚で、久しぶりの上りのラインでもタッチは合っていた。

「5メートル先の10センチ、20センチを出そうとする余計なところから集中力を持ってこないといけない」。強く打とうというストロークをするまでの普段のルーティンの中に余計な考えをいれなくてはならないデメリットもある。スタート前の練習でボールを転がし、最初の距離感を信じ続けることでバーディを量産した。(文・小高拓)

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