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星野陸也が欧州ツアーで戦っている理由  難しいコース、苦しんだ食事すらも「おもしろい!」

星野陸也が欧州ツアー初優勝を目指す(撮影:ALBA)

<ISPS HANDA・ワールド招待 事前情報◇16日◇ガルゴルム・キャッスルGC、キャッスルロックGC(北アイルランド)◇7151ヤード・パー70、6859ヤード・パー71>

「いろんな国のコースに行って、その国のオープン競技みたいな大会が多いんですよ。泊まるところも市街地が多くてそれぞれの国の特色が分かるのも楽しい。本当にいろんな種類のコースがあるので、対応力が身についたり。おもしろいですね」

昨年12月、日本ツアーの2022年シーズン賞金ランキング上位3人に欧州出場権を与えることをPGAツアーとDPワールドツアーが発表した。その年の2位になり主戦場を移した星野陸也は、異国での生活について明るい声でこう話す。目標とする米国男子ツアー参戦へ向けての“武者修行”は充実している。

ここまで欧州で12試合に出場。そのうちの1試合、直近のメジャー大会「全英オープン」は、2日目に「69」を出して予選通過を果たした。そこから一時日本に戻り、しっかり英気を養って再び英国の地を踏んでいる。

日本ツアーですでに6勝。27歳と脂が乗っている時期なだけに、そのまま国内にとどまれば安定したツアー生活を送れたようにも思える。事実、今年出場した国内ツアー3試合中2位が2度と、しっかり優勝争いにも絡んでいる。今も日本ツアーの動向はしっかりとチェックし、「(中島)啓太、調子いいじゃん!とか」と楽しんでいるが、自らは「海外で活躍したい」という気持ちに素直に従い、厳しい環境での戦いを選んでいる。

「ヨーロッパの出場権が手に入って、チャンスがあったので。成功するか失敗するかは分からないですけど、挑戦することが一番大事。今年はまず欧州で勝ちたいという思いもある。ひとつの挑戦する気持ち。ゴルフが一番好きなので、楽しくなれる部分もあるんです。ヨーロッパは歴史を感じるものもたくさんあって、そういう部分も勉強になりますね」

刺激に満ちた毎日。例えば欧州ツアーで上にいる選手とプレーをともにし、ゴルフに対する向き合い方を知ることもそこに含まれる。ポイントランキング上位者には米国ツアーへの道も開かれるのであれば、迷いは消える。「コースもしっかり距離があって難しいところが多い。選手のレベルも高くて、よりショットの精度が求められるし、芝への対応、バンカーの砂質までバリエーションがある。そこを楽しみながらやってます」。まるで少年のような目で、こう説明する。

転戦を始めた当初は苦戦した食事も、今ではすっかり慣れたという。試合が続くこともあり、あえて日本食を持ち込むことはせず、現地のものを食べ続けたことが今につながる。当初はそのために体重が落ちることもあったが、「みんな、自分で塩やコショウで味付けして食べている姿をみて、『自分でやるタイプね!』とか思ったり。そうやっていくうちに、徐々にソースの深みとかも感じられたりして。これとこれを合わせたらいけるじゃん、とか実験しながら(笑)。今は毎日パスタばっかり食べてますよ」。現地生活が続くと、日本食が恋しくなることもあるが、苦労すら楽しみに変えている。

現在のポイントランクは96位。110位以内の選手が得られるシード権を争う日々が続いている。「今年は初めてなのでしっかりシードを獲ることが目標。まだ正直そこもあやしい部分があるので、しっかり成績を積み重ねてシードを取りつつ、優勝争いをして優勝できればいい」というのがルーキーイヤーのビジョンだ。

今週の北アイルランドでの試合は、林間とリンクスと雰囲気が大きく異なる2つのコースを使用する。これについて語る時も、「真逆に近いイメージ。ショットの対応や、芝も違うのでそこを試されてくる。日本にはこういう大会はないですし、それはそれでおもしろいですよね」と、やっぱりワクワクする気持ちが抑えきれない。“欧州の星野陸也”を確立することが、その先に進む一歩になる。(文・間宮輝憲)

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