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日本一曲がらない男・稲森佑貴は“苦境”の開幕から賞金ランク8位フィニッシュ 「当時はショックすぎて、撤退したほうがいいと思っていた」 

苦しい開幕から、今季1勝を挙げた稲森佑貴(撮影:ALBA)

国内男子ツアー「ACNチャンピオンシップ」で優勝し、安定感のあるゴルフで賞金ランキング8位となった稲森佑貴。そして8季連続“日本一曲がらない男”に輝いた。

そんな稲森に今年を振り返ってもらうと「とにかく頑張った一年でしたね…」と切り出す。“とにかく頑張った”というのも、「開幕戦ではショットの調子が本当に悪くて予選落ちからでした」と、特にドライバーが思うように当たらず、頭を抱えるスタートだった。

「当時はショックすぎて、撤退したほうがいい。今年終わったな…って本気で思ってました」と目線を落として、辛い時期を振り返る。不調の中でも「ゴルフパートナー PRO-AMA」で6位、「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」で2位タイ、「ASO飯塚ゴルフチャレンジド」で9位タイ、「ハナ銀行インビテーショナル」で6位タイと、トップ10入りが続いても「決定打はなかったですね。常に試して、アップデートしていく感じでした」と、トンネルの出口はまだ見えていなかった。

しかし、あまりの不調ぶりからクラブの見直しを行ったことが転機となった。「バランスが全体的に合ってなかったことがわかって、全て整えました。そしたらパナソニックのときにドライバーの調子が良くなって、東海クラシックでハマりましたね」と不調から脱し、次戦の「ACNチャンピオンシップ」で優勝を挙げることができた。「開幕が辛かったのもあったので、この優勝は本当に嬉しかったです」と笑顔を見せる。

そして、今年はシーズン優勝者と賞金ランキング上位の選ばれた30人だけが出場できる最終戦「JTカップ」に出場し5位でフィニッシュ。そして、JLPGA(国内女子)、JGTO(国内男子)、PGA(国内シニア)による国内最強ツアー決定戦「Hitachi 3Tours Championship」のメンバーに選ばれた。「久しぶりでしたし、代表メンバーに選んでいただけてよかったです」と開幕当初の不調の壁を乗り越え、シーズン最後まで忙しいスケジュールを過ごすこととなった。

来季の目標は「メジャーで勝ちたいですね」と強い眼差しで答える。そのためにもこのオフは下半身強化のトレーニングや練習に励むという。今シーズンは1位となったフェアウェイキープ率の他にも、パーオン率(72.901%)、パーキープ率(89.877%)で3位、平均スコア(70.323)で5位。いいスタッツが並ぶなかでも、「来年は平均パット数でトップ10に入りたいです」と22位(1.7498)に終わったスタッツの改善という新たな目標も掲げた。狙ったところに打てる技術に、“入る”パッティングが加われば怖いものなしだ。

稲森は来シーズンでプロ14年目。3月には一児のパパになり、10月には30歳を迎える。2024年はどんな一年間となるのか、稲森の活躍に期待したい。(文・高木彩音)

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