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Vのキーワードは風呂上がり? 石井雄二コーチが授けた穴井詩の“スタミナ温存法”

スーパーショットで締めた! 穴井詩が今季2勝目一番乗り(撮影:鈴木祥)

<パナソニックオープンレディース 最終日◇30日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6656ヤード・パー72>

キーワードは風呂上がり――。単独首位でスタートした穴井詩が「71」とスコアを伸ばし、トータル10アンダーで逃げ切り、今季2勝目に一番乗りを果たした。心のスタミナを温存するため、必要以上に入れ込まないのが今季のテーマのひとつ。日常の中での一番のリラックスタイムであるお風呂に入った後の気分で毎回のショットに臨んだことが、勝負を決めた最後のバーディにつながった。

最終18番パー5。ティショットをラフに入れた穴井は無理に2オンを狙わず、3打目勝負に切り替えた。先にホールアウトした永峰咲希と9アンダーで並んでおり、このホールで決着をつけるにはバーディが必要な場面だった。「スコアが分からなかったので、入れなきゃいけないのかなと思って打ちました」。残りは82ヤード。ファーストバウンドは強めに前に弾んだが、ここからバックスピンで戻ったボールはピン横30センチでピタリと止まった。「完璧な球を打てたので満足ですし、良かったです。入りはしませんでしたけどね」。最後まで集中力を切らすことなくプレーした証しともいえるスーパーショットだった。

心のスタミナを意識するようにアドバイスしたのは、今大会でキャディを務めた石井雄二コーチ。「昨年のオフに『また教えてほしい』という連絡が来て、8年ぶりに指導することになりました。年齢も重ねていますし、迷った部分もありましたが、メジャーに勝ちたいという闘志を感じたので引き受けました」(石井コーチ)。

目標のメジャー優勝にどうしても必要と考えたのが、4日間72ホールに渡って途切れない集中力。「一番リラックスできるのはいつだと聞いたら、家でお風呂に入っている時だというので、風呂上がりのつもりでプレーしたらいいと伝えました」。今回は3日間大会とあって、心のスタミナは十分に残っていた。

ツアー屈指の飛距離に加え、今季はショットの安定感も際立っているが、スイング改造をしたわけではない。「これまでに培ってきた感覚が消えてしまうので、スイングは大きく変えずに姿勢を整えることを意識させました。姿勢が悪いと関節の可動域が減って、結果として腕の運動量が増えて、ボールがねじれてしまう。オフはいい姿勢を覚えることを徹底しました」(石井コーチ)。実際の修正点は複数あるが、大きいのはアドレスの猫背を改善したこと。これが1Wからパターまですべてのクラブでの安定につながっている。

自身初のシーズン複数回優勝という目標を早々とクリアした穴井は「めちゃくちゃうれしいです。反省点もいくつかあるので、そこを直しながら、いい状態でメジャーに入っていきたいです」。次戦は今季のメジャー初戦「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパス杯」。2014年には2度の2位がありながら届かなかったメジャータイトル奪取へ、準備はこれ以上ないほど整った。(文・田中宏治)

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