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「女性がスポーツできないのは不公平、報われた」 カタールとレバノンがアジア女子アマ初参戦

レバノン代表のヴァネッサ・リチャーニ(左)とカタール代表のナダ・ミル(撮影:ALBA)

<アジア・パシフィック女子アマチュア選手権 事前情報◇8日◇シンガポール・アイランドCC(シンガポール)◇6343ヤード・パー72>
 
女子アマチュア“アジアNo.1”を決める戦いは今年で5回目を迎え、22カ国から85名が参戦する。そのなかで新たな歴史に名前を刻む選手が2人いる。カタール代表として臨むナダ・ミルと、レバノン代表のヴァネッサ・リチャーニだ。それぞれ国旗を背負って、国として初めてのアジア女子アマ出場を飾る。

ナダは大学に通う23歳。女子世界アマチュアランキングは2888位に沈んでいるが、昨年11月にチュニジアで行われた「パンアラブ選手権」、そして続く「ヨルダンオープン」で優勝し、招待のメールを受け取った。「この舞台に来られて本当に誇りに思う。とてもハッピー!」と興奮は止まらない。
 
ここまで気持ちが高ぶるのには理由がある。兄に影響されて10歳頃に始めたゴルフだが、その当時、カタールには女性がスポーツをする文化がなかったからだ。「わたしはスポーツがしたかったし、ゴルフがしたい。女性がスポーツできないのは不公平だと思った。わたしは戦い続けた」。そこから10年が経ち、カタール政府もだんだんと寛容的に。「昔の話をすると鳥肌が立つね、報われたことがうれしい」とこの大舞台に立てる喜びをかみしめる。
 
「こんなに大きな大会、いろんな国の女の子がいるトーナメントは初めて。ここにはアジアトップの85人もの女の子が集まっているんだよ!」。自国では見られない光景に驚くとともに、大会への期待は膨らんでいく。「優勝や(副賞のメジャー大会)出場権は気にしていない。ただゴルフをプレーして、100%の力を発揮し、新しい友人を作って、そして切り開いていきたい」と、新しく大きな一歩を踏み出す。
 
21歳のヴァネッサも、この大会を楽しみにしてきた。レバノンではゴルフは発展途上。国には3つのコースが設立されているが、コロナの影響で閉鎖されてしまい、いまは1コースのみが営業しているらしい。それでも「レバノンゴルフ連盟は若い女性にゴルフを始めるように働きかけている」と、徐々にその輪は広がっているようだ。
 
始めたきっかけは父と兄。自身はもともとダンスを習っていたが、「こんなのやりたくない、わたしもゴルフをやりたい」とクラブを握った。「招待状を受け取ったときは言葉が出なかった。ただただ、衝撃。一日一日を大切にして、夢のようなこの経験を楽しんでいる」と開幕を心待ちにしている。(文・笠井あかり)

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