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山下美夢有が今季初V 竹田麗央との年間女王争いに向け「残り6試合も優勝を目指す」

長いトンネルを抜けて…。山下美夢有が涙の今季初勝利(撮影:上山敬太)

<富士通レディース 最終日◇13日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6697ヤード・パー72>

海外メジャー「KPMG全米女子プロ」を含め、今季8度の2位を経験してきた女王がようやく初優勝だ。終盤に混戦模様となった大会はトータル14アンダーで並んだ山下美夢有と古江彩佳のプレーオフに突入。2ホール目でパーをセーブした山下が今季初優勝を飾った。「2位と優勝は全然違う。優勝すれば自信になるし、次のステップに向けて頑張ろうという気持ちになります」。国内ツアーの残り6試合、そしてその先に待つ米女子ツアーの「Qスクール」最終ステージもこの勢いで駆け抜ける。

11番までに7バーディを重ねて一度は2位に3打差とした山下だったが、勝つ時は案外あっさりとはいかなかった。13、14番はいずれも3パットで連続ボギー。「これが今年のプレーというか、連続3パットなので流れは良くなかったと思います」。それでも、16番パー5でバーディーを奪うと、最終18番パー4は13メートルのパーパットを沈めてフィニッシュ。「あの距離は入れようと思ってもなかなか入らないので、ラッキーと思いました」。

プレーオフ1ホール目は入れば優勝の2メートルを決め切れず、互いにボギーで決着は持ち越し。2ホール目では20メートルの古江のパーパットがピンに当たり「私も十何メートルのパットを入れるしかないと思って打っているので、ああいうパットを見るとドキッとしました」。山下は6メートルから2パットでパーをセーブし、ようやく勝てない日々に終止符を打った。

優勝スピーチでは「いろんな人の顔が浮かび過ぎて…。やっと結果で恩返しができました」と何度も涙で声を詰まらせたが、その後の記者会見には「お待たせしました(笑)」とおどけて登場。優勝の瞬間を「最高!しかなかったです。歓声を浴びながら、もう最高って」と振り返った。

今季の女王争いは竹田麗央が驚異の7勝を挙げてリード。山下は約540ポイント差を追う。ポイント配分は3日間大会の優勝が200ポイント、4日間300ポイント、国内メジャー400ポイント。逆転にはさらなる勝利が必須だろう。「残り6試合も優勝を目指してやりたいと思っているので、まずはショットを調整しながらいい状態に持って行けたらと思っています」。

来季の目指すステージは米女子ツアー。現在のスイングには満足しておらず、Qスクールに向けても「とりあえずショットを直したいです」と話した。勝利から遠ざかる苦しい中でも「勝てないとは思わなかったので、勝つという気持ちで取り組んでこられたと思います」。日本の3年連続女王として海を渡るシナリオを諦めてはいない。(文・田中宏治)

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