「歓声が聞きたい」 岩井千怜が思い出した“モットー”

5打差の圧勝! 岩井千怜が自身初の完全Vで今季2勝目を挙げた。(撮影:藤井孝太郎)

<宮里藍 サントリーレディス 最終日◇11日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6513ヤード・パー72>
 
後続に5打のリードをもって最終日を迎え、逃げ切りを図った岩井千怜。だが、後半の11番を終えて申ジエ(韓国)との差は1打にまで縮まった。「経験が全部詰まっているゴルフだと思った。このまま自分がバーディを獲らなければ、ジエさんが波に乗って抜かされる」。岩井の顔が曇った。

「大丈夫、自分のゴルフをするだけと言い聞かせた」と気持ちを切り替えようとしながら、12番パー5で2打目を放ったあと、ふと気がついた。「自分で自分を追い込んでいる」。“元世界No.1”がじわりじわりと詰め寄ってくるプレッシャーから、自分の顔が徐々に険しくなっていることを知った。
 
ここで自分の“モットー”を思い出す。普段から意識し、常に言葉でも表しているのが『見ている人をワクワクさせるプレー』。顔を上げて周りを見渡せば、たくさんのギャラリーが岩井に声援を送っている。「見ている人の歓声が聞きたい。ファンのみなさんのためにゴルフをしようと思った」と、ここで思考を変える。自身のショットがピタリとついてギャラリーが沸く、というイメージをつくるようにした。
 
するとそのイメージ通り、12番の残り55ヤードからの3打目を2.5メートルにつけてバーディ。ギャラリーの声援を全身に浴びると、それを力に変えるようにギアを入れ、14番もカップ50センチにピタリとつけて奪った。
 
16番パー3では池越えすぐのところにピンが切られていたが、「ここでナイスショットできたらかっこいい」と放ったティショットを2メートルにつけるスーパーショットでバーディ。ジエとの差をスタート時の5打に戻し、一気に振り切った。
 
六甲名物・18番でウイニングパットを沈め、トータル23アンダーで終えるとひときわ大きな歓声を聞いた。今季2勝目(通算4勝目)はトーナメントレコードを更新しただけでなく、自身初の“完全優勝”。「初の経験だし、エネルギーを使って4日間やってきたので、頑張ってよかった」とうれしさはひとしおだ。
 
表彰式では「キラキラしているし、憧れの人」と話す、大会アンバサダーの宮里藍からチャンピオンブレザーが贈られた。サントリーブル―のジャケットに黄色のウエアが映え、途中まで険しかった顔は晴れやかな笑顔へと変わっていた。
 
これで8月10日に開幕する海外メジャー「AIG女子オープン」(全英)の出場権も獲得。姉の明愛とともに、ツインズでの出場を叶えた。「出られることはうれしいし、宮里藍さんのように活躍したいという気持ちがもっと強くなりました」と話す20歳。日本だけでなく、世界中のギャラリーを沸かせるイメージもできている。(文・笠井あかり)

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