3季ぶりに賞金1億円突破 今平周吾はドライバーの振り感を7Iに合わせていた!
今平周吾の23年シーズンは、開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で優勝し、11月の「三井住友VISA太平洋マスターズ」でも勝って年間2勝。賞金王になった19年以来、3季ぶりに獲得賞金1億円を突破し、賞金ランキング5位で終えた。
「年間3勝が目標でしたけど、2勝できたことに満足していますし、少しトップ10が少なかったことが、自分の中で悔しさもありました。全体を見れば良い一年だったかなと思います」
18年に1勝、19年に2勝を挙げて2年連続賞金王に輝いた今平だが、トップ10の回数が驚異的だった。18年は25試合に出場してトップ10が16回、19年は24試合に出場してトップ10が14回を記録。ほぼ毎週トップ10に入る活躍を見せた。今年は24試合でトップ10が8回と、それに比べれば寂しい成績には映る。それでも「最近のなかでは年間を通じて安定してきた。だいぶイメージと球が合ってきている感はあります」と話す。
そんな今平が話題と集めたのはドライバーを抜いて勝った三井住友VISA太平洋マスターズ。もともと入っている3番ウッドと、シャフトを長くしてロフトを立てた“飛ぶ3番ウッド”の2本を入れて太平洋クラブ御殿場コースを攻略した。
「あんまりそういう(3番ウッドを2本入れる)発想はなかったんですけど、ヤマハのスプーンは飛ぶっていう噂があるじゃないですか(笑)。それに長さを足したり、ロフトを立てればドライバーくらい飛ぶんじゃないかと思ったら、そこそこ飛んでくれた」。飛ぶ3番ウッドの飛距離は280ヤードとドライバーより落ちるものの、「曲がっても幅の中に収まってくれる」と67.857%の高いフェアウェイキープ率を叩き出し、勝利につなげた。
今後もドライバーを抜くオプションはあるのか気になるところだが、「なるべくドライバーを使いたい。ドライバーのほうが飛ぶのであんまり考えていません」と今後は見られないかもしれない。
そんな今平のセッティングで重視していることを聞いてみた。軸となるのは「やっぱりアイアン」。そして、「一番大事にしているのはアイアンとドライバーのつながりです。アイアンの振り感でドライバーにいきたい。重心とかをなるべくアイアンの感覚に近くしたい。7番、8番アイアンくらいに全体の振り感を合わせています」と話す。
今平のエースドライバーはヤマハの『RMX VD/R』で、ソールには左右方向に動かせるウェートを搭載している。今平はこれをヒール側に寄せて、ヘッドの重心距離を調整。「手前(ヒール)側に合わせていますね。なるべくシャフトに近づけたいというか、先(トゥ側)にいくと開閉が強くなる。近ければそれを感じない」。そうすることで、アイアンと同じような操作性を、ドライバーでも得ている。
また、今平のウェッジショットはツアーでもトップクラス。今では3本、4本とウェッジを入れる選手は珍しくなくなったが、今平は52度と60度の2本だけしか入っていない。ロフトピッチには8度もの開きがある。「56度とか入れたことがあるんですけど、使わないんです。だからいらないなと思って」。52度はフルショットで115ヤード、60度はフルショットで95ヤード。それ以下はほぼ60度で様々な球を打ち分ける。
「どちらかというと上をちょっと厚くしたい」。ウェッジを増やせば、おそらくフェアウェイウッドやユーティリティ、ロングアイアンを抜くことになるが、今平はそれをしたくないのだ。
三井住友VISA太平洋マスターズで2勝目を挙げた時点では賞金王の可能性も残していたが、翌週の「ダンロップフェニックス」では予選落ち、そのあとの「カシオワールドオープン」では体調不良で棄権し、賞金ランキングは5位。今平が目指していた賞金ランキング3位内に与えられるDPワールド(欧州)ツアー出場権には届かなかった。来年についても「やっぱりそこは目指していきたい」。その次のステップとして、久常涼がそうであったように、欧州ツアーでポイントランキング上位に与えられる米国男子ツアーの出場資格を狙っている。
今年、今平の前に立ちはだかったのは、23歳の中島啓太(賞金ランク1位)、22歳の蝉川泰果(同2位)、25歳の金谷拓実(同3位)の若手たち。「一緒に回る機会がけっこうありますけどやっぱりレベルが高い。僕らが23歳だった頃よりも飛距離が出ますし、技術が高いなという気はします」。彼らは来年、欧州ツアーに参戦するが、今平が世界への切符をつかむためには、来年も活躍するであろう勢いのある若手を倒さなければならない。「ゴルフは何が起きるか分からないので(笑)」。31歳は高い技術と経験を武器に戦っていく。
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