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練習セーブの日々にも…「みんな何かしら背負ってる」 渋野日向子が耐えて、見せた窮地を救う“きょうイチ”ショット

ショット不振も前に進む渋野日向子(撮影:ALBA)

<JMイーグル・LA選手権 2日目◇28日◇ウィルシャーCC(米カリフォルニア州)◇6447ヤード・パー71>

朝一のスタートから17ホールものあいだ、バーディが奪えないまま進んでいった2日目。渋野日向子は、最後の最後で窮地を救う目が覚めるようなショットを放った。トータル1オーバーと、渋野のラウンド時には予選通過に1打及ばない状態で迎えた18番。「めちゃくちゃ難しい」と話していたパー3で、6番アイアンを握って放ったティショットは奥に切られたピンに寄っていき1.5メートルにピタリと止まる。「あんなに寄るとは思わなかった。“きょうイチ”のショットが最後に打てました」。開幕から7試合連続となる決勝ラウンド進出も決定づける初バーディを奪った。

グリーンを取り囲んだギャラリーも、このショットを見て大歓声を挙げる。「(インパクト時に)めっちゃいい音がした。17番のパーパットもそれなりに緊張感があったけど、冷静に打てていたので、そのままいけるかなと思ったらすごくいいショットが出た」。最後のパットは「入ったと思ったら、くるっと回って入った(笑)。 危ない!って。入ってよかった」と少しヒヤリとしたが、“バーディなし”の屈辱を回避しホッとしたような笑顔を浮かべる。それまで「きょうもショットがボロボロで、すごくしんどかった」というだけに、なおさらだ。

フェアウェイヒット数は14ホール中8ホール。パーオン数も18ホール中9ホールと、ともに前日より2回ダウンしている。前半の6番では、ティショットが左の木に当たり左のラフへ。「(計測数値が)120ヤードって出てた…切ない(笑)」と、笑い飛ばすしかないミスからボギーを叩いた。「プチーンときた」という場面はあったが、そのなかで1ストローク落とすのみで踏みとどまった。

ショット面の反省を口にすることが多かったここ数試合。ただ、崩れてもおかしくない状況のなか歯を食いしばるように耐える姿を見る機会も多かった。「ショットが悪いぶん、他で頑張らないといけないし、グリーン周りの練習などその準備をしている。それでも外しもするし、ショットを曲げ散らかしているからしんどい」。予選カットがなかった2試合もあるが、この状態のなかで今季予選落ちゼロを継続している。

この「思わぬところに飛んでいく」というショットの大きな理由として、練習不足を挙げる。左手にテーピングを巻いてプレーする日が続くなかで「疲労を蓄積させず、いい状態で試合に臨めるように」練習をセーブしているのが現状だ。先週のメジャー、そして今週も開幕前の練習ラウンドは、基本的にウェッジとパターのみを持ってグリーンやその周辺をチェックするのみの“ぶっつけ本番”状態。「(練習量は)やばいですよ。どうしてもね…痛いものがあると難しい」。試合のなかで、鈍ったショットの感覚を取り戻すよりほかない。

それでも、万全でないことを嘆くのではなく、しっかりと受け入れている。体を酷使するアスリートで、なんの問題もなくプレーしている選手は少ない。「みんな何かしら背負ってやっている。とりあえず1日ずつ試合をこなして」。その積み重ねでここまでは、過去2年間の優勝者のみが出場できるシーズン開幕戦を除き、フル出場も続けている。

「よかったー。(予選通過を)確定できたのが。微妙だなって思っていたから」。カットライン上でプレーを続けた18ホールを終えると、自然と緊張感もほぐれる。トータルイーブンパーは現時点で30位前後。「あと2日間プレーできるのがほんとに楽しみ」。週末も粘り強く、まずはムービングデーの浮上を狙う。(文・間宮輝憲)

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