今季トップ10率50%! 初優勝目指す宮田成華の整いつつある“心・技・体”【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】
国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは、8~10日まで今季第9戦「ルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディース」が、長野県の上田丸子グランヴィリオゴルフ倶楽部で開催される。2019年以来4年ぶりに復活する大会は、浅間山を望む自然豊かなコースが舞台となる。この一戦はどのような展開が待つのか? 自身も同ツアーに出場する大和笑莉奈に注目選手、今大会のキーポイントを聞いた。
■メンタル面も充実! 初優勝が期待されるひとり
今季出場したレギュラーツアー4試合で、平均254.05ヤードを飛ばしているドライバーなど、そのショット力に定評がある宮田成華の調子が上がっている。ステップ・アップ・ツアーはここまで6試合に出場し、トップ10入り率50%の3度。2017年からツアーに本格参戦し、19年にプロテスト合格を果たした25歳は、着々とプロ初優勝に近づいている。
大和が話を聞くと、本人も「去年の後半から状態はよくなってきていますね」と明るい表情を浮かべる。アマチュアの馬場咲希らも指導する坂詰和久コーチに昨年から師事し、そこでの取り組みも強みになりつつある。その内容を深堀りしてみると、「今はハーフスイングを大事にしていて、自分が意識しているポイントを確認しながら打つことができています」という。これまではショット時に体のバランスが崩れ、上半身主導になることが多かったが、今は下半身をしっかりと意識したスイング作りと向き合っている。
何より、この状態が上がっているという手ごたえが、メンタル面に及ぼす影響は大きい。宮田の「自信がついてきて、トラブルが起こっても冷静に対処することができるようになりました。不安もなくなってきていますね」という言葉にも、それはあらわれる。この言葉を聞いた大和は「メンタルが安定しているため、スコアが大崩れすることがなくなってきているのでは」と、そのプレーを支えている要因を想像する。
■コースを離れると…映画鑑賞が大好きな25歳
冒頭に飛距離について触れたが、昨年は平均242.21ヤード、20-21年シーズンは平均245.50ヤードと、飛ばし屋に分類される選手とはいえ、ここまで250ヤードは超えてこなかった。もちろんサンプル数の違いはあるにせよ、ついにその壁を打ち破ることに成功したことになる。ここにはひとつの秘密がある。ウッドの変更だ。現在はキャロウェイの23年モデル『パラダイム』を使用し、「飛びがよくなった」という違いを実感している。
そして、プレーの礎になる体にも恵まれている。ここまで大きなケガもなくキャリアを過ごしてきた。「体が強く、いい意味で鈍いからケガをしにくいんですかね。親に感謝しています」と、本人も武器として認識している部分。コースを離れると、大好きな映画鑑賞に時間を費やしスイッチをオフに。こうして“体”と“心”を整え、“技”に集中できる状況が整っている。
「勝ちたい」という思いも強く、こういった気の強さもプロ向き。ファンへの一言を求められた時も、「全試合優勝を狙っていくつもりで頑張ります。早く期待に応えられるようになりたいです」と気合に満ちた言葉が返ってくる。持ち味のショット力を生かし、ここから一気に階段を駆け上がっていってもらいたい。
■3日間大会になった2015年以降で2ケタ優勝はなし…その理由は?
最後、宮田に上田丸子グランヴィリオゴルフ倶楽部の試合前の状態を聞いてみた。すると、「硬いグリーン」と、「タイトなフェアウェイ」が警戒ポイントになる、という全体象が浮かんできた。グリーンコンディションを考慮すると、どれだけ狭くともフェアウェイをしっかりキープすることが攻略の第一歩になる。
一方で、パー71ながら総距離は6314ヤードと長くなく、宮田からは「フェアウェイを捉えることができれば、スコアが出そう」という言葉も聞こえてくる。同会場で行われた過去の試合の優勝スコアを見ると、19年の4アンダー、18年の7アンダーなど、3日間大会になった15年以降で2ケタにアンダー乗せた選手はいない。「ラフにいくと距離感が分からなくなるので注意が必要」(宮田)ということも加味すると、なおさらティショットの精度が重要度を増す。
今、自信を持って振ることができているドライバーから放たれる打球のように、グングンと勢いを加速させたい宮田。自然豊かなコースで、これまで見ることができなかった“景色”を眺めることができるだろうか? 今後の飛躍が期待されるひとりであることに間違いはない。
解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。
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