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「最新1Wで弾道が揃わず、出力も変わる人へ」。鹿又芳典がUSTマミヤ『The ATTAS V2』を辛口試打

鹿又芳典が『The ATTAS V2』に物申す!

「ど真ん中」のシャフトと、聞いてどんな性能を想像するだろう。例えば、男子ツアーと女子ツアー、アマチュアとプロゴルファー全員にど真ん中というものはなく、一人ひとり違うのがシャフトというもの。だが、USTマミヤの最新作『The ATTAS V2』は、シャフトメーカーには珍しく“ど真っすぐ”や“ど真ん中”を標榜している。
 
そして、今年の最新ドライバーに変化が見え隠れする。例年「飛距離アップ」を謳い文句にしてきたテーラーメイドやキャロウェイも、PINGと同様に「方向性アップ」を盛んにアピール。『ステルス2』も『パラダイム』も、飛距離と方向性の両立を謳い文句に、みんな同じ方向を向いてきた
 
この「ゴルフ界の変化に、一番敏感なのがシャフトメーカー」と言うのは、ご意見番の鹿又芳典だ。USTマミヤは珍しく「ど真っすぐ」というキーワードで、まるでテーラーメイドとキャロウェイの動きを先回りした印象すらあるが、鹿又は辛口で新作に「もの申したいことがある」とか……。

「ど真ん中さが、ジ・アッタスと違う!」

「ジ・アッタスの後継との触れ込みだけど、ど真ん中さが全然違うよね」。USTマミヤのシャフトの歴史をよく知る鹿又だけに、「ど真ん中の中調子」との謳い文句に、いきなり鋭い一言でバッサリ。同社はたしかに「10代目の『ジ・アッタス』の後継」と言っているが、鹿又はここに違和感があると言う。一体、なにが“違う”のか?
 
「初代のジ・アッタスは手元も真ん中も剛性分布の高いと中調子だったけど、今回の『The ATTAS V2』はそういう中調子じゃなく感じる。今回の『The ATTAS V2』は、先端の補強材に着目していて、【4軸カーボンシート】と、高弾性・高強度の【トレカM40X】をダブルで採用してるでしょ。相対的に先端が強くなったおかげで、切り返した時にしなり感が少し出る形になってる。
 
だから同じ中調子なんだけど、硬い真ん中じゃなくて、手元からなだらかにしなってくる中調子になったので、そこが1番変わったところだなと。それはプレーヤーにとってはしなりを感じとれるから、切り返しで力まないし、すごくタイミングを取りやすい利点として出てきてる。ただ初代のジ・アッタスが好きな人から見たら、ちょっと雰囲気が違う。先端剛性が高い分の違いがね」
 
弾道図の「ど真ん中」は同じだが?

鹿又の言葉を言い換えると、金谷拓実やひと昔前の稲見萌寧が愛用したジ・アッタスの方が、先端に動きがあるということ。同社はドロー/フェード、高弾道/低弾道のフローチャートを用意するが、ジ・アッタスも今回の『The ATTAS V2』も、同じ“ど真ん中”に位置している。これではゴルファーが混乱すると言いたいようだ。
 
が、同社は『The ATTAS V2』でこうも説明している。「高めの先端剛性により、慣性モーメントの大きいヘッドでは当たり負けを防ぎ、操作性の高いヘッドでは操作性を損なわず、プレーヤーの意思をダイレクトにボールに伝えます」。つまり、キャロウェイ『パラダイム』やテーラーメイド『ステルス2』、そしてPING『G430』シリーズなど最新ヘッドが要請する変更とも見て取れるのだ。

「たしかに、いま自分はPING『G430 MAX』で試打したから、それは分かります。『パラダイム』も『ステルス2』もミスに強くなったのは事実。だから、ジ・アッタスから『The ATTAS V2』が悪く変わっているんじゃなくて、データも見てもらったけど、弾道にしっかり安定っていう形で現れます。うん、そこは使い込んでいったら十分いい。
 
で、その先端が硬くなった分で、しなり感を感じて振りにくい人は、逆に自分の好きなフレックスより1フレックス上げて使ってあげると、違和感なくすごく『The ATTAS V2』のブレない特性も出てくると思う。だから、1つのフレックスに絞らないで、ちょっと色々変えて打ってみてほしいかな」
 
「クセがなく、出力を変えてもOK」

鹿又の店がある千葉「ジャパンゴルフスクール」は、全打席トップトレーサーが入っている。打った打球のログが直近の3球残る仕様になのだが、『G430 MAX』と『The ATTAS V2』(5X)で打ったデータが上記の図。「ほら、3球ともキレイに揃うでしょ。その意味では【ど真っすぐなシャフト】という謳い文句に偽りはないんだけどね」と話す鹿又。
 
しかし、これは高MOIなPING『G430 MAX』の恩恵ではないのだろうか?
 
「それもあるけど、やっぱり『The ATTAS V2』の先端のインパクトの強さというか、クセのないど真っすぐなシャフトだから、自分の出力を変えていってもインパクトのタイミングがズレない。弾道も変わらないから、だんだん安心して振っていけるようになって、結果的にいいパフォーマンスになってくる。だから、コースで出力が変わっちゃう人なんかにもいいかもしれない。
 
で、当然それってヘッドの進化もあるよね。『パラダイム』とか『ステルス2』とか、今は慣性モーメントが大きいヘッドが多いから、今のヘッドに対して効率的なのが、この先端剛性の締まった動きの方が安定するという結果なの。 だから、ジ・アッタスとの一番の違いって何?って言うなら、【最新の高MOIヘッドに合うのは明らかにThe ATTAS V2】って答えになるよね」
 
「ヘッドの性能がそのまま出る」

裏返すと、「ひと昔前のヘッドや、小ぶりなヘッドには合わないのか?」との疑問も湧いてくる。
 
「それは邪推でしょ。どこが強烈に硬く感じるとか、ここが急に走るとかっていう違和感とか、プラスアルファの感覚をプレーヤーに感じさせないシャフトだから、ヘッドの性能を伝えてくれるのが『The ATTAS V2』なんです。だから、慣性モーメントが大きくて重心の深いヘッドはそういう感覚がちゃんと手に来るし、逆に重心が浅くてシャープなヘッドに入れれば、ちゃんとそれが手に伝わる。
 
小ぶりなヘッドって、小回りの利く動きをしてほしいから、ゴルファーの好みでそういうモノを使うわけじゃない。それが好きな人にとっては、その動きをボヤかさない方がいいわけじゃない。だから、ヘッドの持ってるパフォーマンスが『The ATTAS V2』は全部そのまま素直に出るっていう感じ。だから、FWとかに入れても全然いいと思う

契約フリーの西郷真央も採用

この発言で、開幕から気になっていた、ある女子プロの動きが重なった。契約フリーになった西郷真央で、ヘッドをキャロウェイ『パラダイム◆◆◆』に『The ATTAS V2』の50Sを採用していた。通常ならシャフトは据え置きで、新しいヘッドだけを試すものだが、シャフトも一気に替えたのは「ヘッドの特性を選ばないATTAS V2」という背景があるからだろうか。
 
鹿又は「実際に見てないから何とも…」としつつ、「マミヤさんのシャフトって、PGAツアー選手が使うトップダウン方式じゃないんですよ。一般アマでも、誰でも“しなりを感じやすい”のが基本の作り。そんなボトムアップ型な作り方で、ど真ん中のクセの無さを今のヘッドに合わせた。だから、2人にベストというより、合わない人がすごく少ないのかもしれない」。
 
撮影・山代厚男
取材協力・ジャパンゴルフスクール

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