「メジャーは経験を積んで勝つものだと…」2度の惜敗を経て、菊地絵理香がうらやむ“若さ”
<日本女子オープン 2日目◇29日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>
これが56度目のメジャータイトル挑戦。うち「日本女子オープン」は、初めて出た2003年から18度目の出場になる。大会最少スコアタイ記録となる「64」をたたき出し、トータル10アンダーの単独トップに躍り出た菊地絵理香が、改めてこのタイトルの重さを語る。
「どのメジャーも大きいけど、女子オープンは特別感がありますね。プロ人生で誰もが欲しいタイトルだけど、それがなかなか獲れなくて。出れば出るほど、だんだんと難しさも増してくる。それをあまり感じないうちに獲れたら良かったのに。そんな気持ちもあります」
振り返ると、この難しいタイトルには何度も手が届きそうだった。相模原GC(神奈川県)で行われた2013年は優勝した宮里美香と1打差の2位。そして片山津GC(石川県)での15年大会は、2アンダーで三つ巴のプレーオフまで進んだが、最後はチョン・インジ(韓国)に敗れた。悔しい敗戦と振り返るこの2試合も含め、トップ10入りは7度を数える。
最近の公式戦優勝者は、若さであふれている。すでに行われた今年の2つのメジャーは、5月の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」が23歳の吉田優利、そして3週前の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」を20歳の神谷そらが制した。この日本女子オープンも、直近7年のうちユ・ソヨン(韓国)が優勝した18年を除き、畑岡奈紗(3度)、原英莉花、勝みなみ(2度)と黄金世代の優勝が続いている。
その“難しさ”を知っているからこその悔しさが、菊地にはある。「メジャーはたくさん経験を積んで勝つものだと勝手に思ってたけど、ここ4〜5年はそうではない。獲れるうちにしっかり獲ることが大事だと思ってます」。今季もすでに1勝、通算6勝を誇る実力者だが、これまでメジャーでの勝利はなく、そしてこんなことを考えるようにもなっていた。「いいチャンスが来たので、生かしたい」。2位に3打差のトップで決勝に進んだこの機会を逃すわけにはいかない。
初日は4つのバーディを奪って迎えた最終9番でダブルボギーを叩いた。それだけに3番で2メートル、4番で5メートル、そしてアプローチをお先の位置まで寄せた5番と、序盤から3連続バーディを奪った2日目も「ワナが待ってると思ったので、ぜったいに浮かれたらいけない」と、自らに言い聞かせながら気を引き締め続けた。その結果、大会に名を残すビッグスコアをマークできたが、「うれしいけど…。そんなスコアを出すと、また難しくされそうですね」と、諸手を挙げて喜ぶことはない。
8年前にくやしさを味わった片山津GC白山Cは、今回の会場から車で20分ほどの位置にある。「忘れていたんですけど、ここに来るときに前を通って、『こんなに近くだったんだ』って思いました。きょういいスコアが出たし、やっぱり縁があるのかな」。この日も曲がったショットが木に当たり戻ってきたり、ミスがチップ・イン・バーディにつながったりと「ラッキー」と振り返るシーンもあった。35歳になった今、ここを最高に縁起がいい場所にしたい。(文・間宮輝憲)
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