QTランク135位からの逆襲 木戸愛が狙う11年ぶり復活V
<パナソニックオープンレディース 2日目◇29日◇浜野ゴルフクラブ(千葉県)◇6656ヤード・パー72>
主催者推薦で出場の木戸愛が4バーディ・ボギーなしの「68」をマーク。首位と2打差のトータル7アンダー・3位タイにつけた。初優勝を挙げた2012年「サマンサタバサ・レディース」以来、優勝がなく、2019年にはシード陥落と苦しいシーズンが続くなか、今回は久々に巡ってきた2勝目のチャンス。安定感を増したショットを武器に11年ぶりの復活Vを狙う。
今季の木戸はQTランク131位と推薦に頼らなければ、レギュラーツアーに出られない立場。そんななかで、開幕から4試合に出場し、3試合で予選落ち。唯一予選を通過した「ヤマハレディース」も50位と下位に沈んだ。それでも「今季はいい感じでスタートできて、スコアにはつなげられていなかったんですけど、ショットがいい方向に向き始めていると思っていました」。感じていた手応えがここにきてようやく結果に結びついた。
この日は序盤からパーを重ねると、8番パー5で残り101ヤードからの3打目を2メートルにつけて最初のバーディ。後半に入ると、11番6メートル、13番12メートルと長いバーディパットを沈め、最終18番パー5では3打目を1メートル弱につけて、さらにスコアを伸ばした。
2020年秋からツアー通算7勝の佐伯三貴に師事。今オフはハワイや鹿児島での合宿で集中的に指導を受けた。その成果が表れたのは8番の2打目。「残り280ヤードぐらいで風の中、3Wで低い球を打っていいポジションに運ぶことができました。三貴さんといろんなショットを打つ練習をしてきたので、パッとイメージができて、イメージ通りのショットが打てたので自信になりました」。ロングショットでも、ショートゲームでもプレーの幅が広がったことを実感している。
苦しい期間は佐伯や父で元プロレスラーの修さんとさまざまな話をし、激励を受けてきた。「父は『自分の目標に集中してできるだけやりなさい』と言ってくれます。結果が出ない時でも切り替えて、前向きに練習してきたことがいいプレーにつながっている。いい報告がしたいなあと思います」。目標はずっと届かずにいる2勝目だ。
「優勝したい思いは強いんですけど、そこに行くには一つひとつを丁寧に、明日も一打一打、自分のプレーに集中してやっていきたいと思います」
若手の台頭が目立つ女子ツアーだが、昨季終盤には藤田さいき、金田久美子が11年ぶりVを挙げており、今季はすでに申ジエ(韓国)、青木瀬令奈、穴井詩と3人の30代が優勝するなどベテランも健在。33歳になった木戸も、この流れに乗って復活を遂げたいところだ。(文・田中宏治)
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