ツアーNo.1の栄冠を左右する最難関17番パー4 昨年は大槻智春が池に落とし優勝逃す【セッティング担当に聞く】
<BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ 最終日◇4日◇宍戸ヒルズカントリークラブ 西コース(茨城県)◇7430ヤード・パー71>
今年の国内メジャー初戦「BMW日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」の最終ラウンドが始まった。今大会は直近13回で10人の初優勝者が生まれているが、トータル11アンダーでトップの金谷拓実をはじめとする上位7人は全員優勝経験者となっている。
勝てば日本タイトルの称号が手に入るだけでなく、ドイツ開催のDPワールドツアー(欧州ツアー)「BMWインターナショナルオープン」(6月22~25日)と、日本開催の米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」(10月19~22日)の出場権が与えられる。海外で通用する選手を生み出す意味もあり、今年は昨年より総飛距離が43ヤード伸ばされ、7430ヤードのパー71に。グリーンのコンパクションは25と硬く、スピードは13フィートと速く仕上がっている。
そんな世界基準のメジャーセッティングのなかでも、勝敗を左右しそうなのが宍戸ヒルズCCの最難関ホール、481ヤードの17番パー4だ。昨年は大槻智春が単独トップで残り2ホールを迎えながら、17番で池に落として痛恨のダブルボギー。優勝を逃している。今大会のコースセッティングアドバイザーを務める田島創志に17番の難しさについて聞いた。
宍戸ヒルズCCで行われた過去19大会で、17番ホールは16回もの難易度1位を記録。そのうち4回は、ツアーの『年間最難関パー4』にもなっている。距離が長くセカンドショットが池越えのホールは、今年も第3ラウンドまでの平均ストロークが『4.4116』で難易度1位。ボギーが71個、ダブルボギーは29個、トリプルボギー以上を9個も出している。
「池の上を飛んでいくボールは、水気があって基本的に飛ばないんですよ。それにフェアウェイのラインから見てグリーンが右にあるから、右に対して振っていくところで当たり損なったときに池に入りやすくなるんです」。
19年まではラフが深く、ティショットでラフに入ったら無理にグリーンを狙わずレイアップを選択する選手が多かった。しかし、昨年大会からラフを短くしたことで選手はラフからでもグリーンを狙いたくなる。田島は「セカンドではフェードを打ってはいけない」という。最終ラウンドのピン位置は、昨年と同じく右手前。ピンに絡めるためには、左から右に曲がっていくフェードで攻めたくなるが…。
「フェードで逆球が出たら左上からの下りのパットが残るし、フェードでこすったら池ポチャになる。目の前に池が見えるんですけど、しっかりつかまえていくボールを打てるかどうかが、すごくキーポイント」。手前に広がる池だけは避けなければいけないが、奥につけると3パットの危険もある。大槻はそこで迷いが生じて、軽く押さえたショットが池に消えた。
「池の上なので、ラインを出したり、感じを出したショットは余計に飛ばなくなる。だから大槻選手が池に入れたりするわけです。乾坤一擲(けんこんいってき)のショットみたいなのがうまいいく。ウェッジで打ったショットは別ですけど、180~190ヤードを打つとなったら6、7番を振り抜けるコントロール精度が必要になると思います」
たとえ2打のリードを持っていたとしても、17番を通過するまでは安心できない。最終18番パー4も第3ラウンドまでの難易度は3位と、決してやさしくはない。ツアーNo.1の栄光はいったい誰に輝くのか。最後まで手に汗握る展開となりそうだ。(文・下村耕平)
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