「どんな結果であっても一皮むけるんじゃないかな」 蝉川泰果は全英でメジャー初挑戦
<全英オープン 事前情報◇17日◇ロイヤル・リバプールGC(イングランド)◇7383ヤード・パー71>
昨年の「日本オープン」で95年ぶりのアマチュア優勝という快挙を達成した蝉川泰果が、いよいよ海外メジャーに乗り込む。今年1月の「ソニー・オープン・イン・ハワイ」を自身初として米国男子ツアーに今季3度も出場しているが、メジャー大会はこの「全英オープン」が初めて。「めっちゃ難しい」と難解なロイヤル・リバプールGCで調整を進めながら、メジャーの空間を楽しんでいる。
現地入りした日曜日はレンジのみでの調整に留まったが、月曜日には初めてコースへと足を踏み入れて18ホールのラウンドを行った。頭のなかには「ファーマーズ・インシュランス・オープン」の風が最も強かったという印象があったというが、「ファーマーズよりも難しい。風は断トツ」とアイリッシュ海から吹く重たい風にはさらに厄介モノ。海に面していて、気温も低いことからアイアンの飛距離も1番手くらい落ち、「番手選びがすごく重要になってくる」と印象を話す。
特に風の影響を受けたのは、今大会から新設された17番。海に向かってやや打ち上げるパー3で、距離は140ヤードほどと短いものの、グリーン周りをバンカーや崖が取り囲んでいる。8番アイアンを振り抜いて「そんなに風が強くなかったので、ちょっと吹かして止める感じでいこうかなと、少し右から出したんですけど…」という打球は、右からのアゲンストに持っていかれて「左の崖に落ちた」。逃げ場のない“難関ホール”に衝撃も受けたが、「なるべくポットバンカーに入れない攻め方」を念頭に置きながら、このコースの戦略を図る。
初めてのメジャーの舞台では、楽しみにしていることもある。「スイングを見てみたいですね。立っている雰囲気だけでも」と憧れるのはローリー・マキロイ(北アイルランド)。スポット参戦した米ツアーでは、同じフィールドに揃わなかった。「僕が小学生くらいのころから、すごい活躍していた、その選手をちょっと目の当たりにしたいなというのはありますね」。先週のスコットランド戦で優勝を飾り、ロイヤル・リバプールでの前回大会(2014年)を制した覇者は今大会の最注目選手のひとり。世界トップランカーとして活躍し続ける姿から、学びたいことも多くある。
史上初となるアマ2勝を挙げ、今年4月の「関西オープン」ではプロ初優勝を飾った22歳。初めてのメジャーは、これからも続くプロゴルファー生活に向けても、大切な、大きな一歩となる。「どんな結果であっても、一皮むけるんじゃないかなという風に自分自身考えている。さらに結果が出れば、もう一皮むけられるかなとも思うので、本当にこの試合をすごく楽しみにしています」。日本ツアーを席巻する若きサムライが、メジャーの舞台に挑戦する。(笠井あかり)
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