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岩田寛は「練習もしたくない」絶不調から日本勢トップの4位! なのにずっと“冷めっぱなし”!?

難易度の高いインコースで5バーディを奪った岩田寛(撮影:佐々木啓)

<ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 最終日◇23日◇PGM石岡ゴルフクラブ(茨城県)◇7039ヤード・パー70>

初めて日本で開催された欧州ツアーを制するのは、26歳の星野陸也か? それとも24歳の金谷拓実か? ふたりの奮闘が期待された最終日。日本勢最上位のトータル13アンダー・4位タイで大会を終えたのはそのどちらでもなく、42歳のベテラン・岩田寛だった。

スタートの1番ホールをバーディでスタートすると、そのあと11番ホールまではずっとパーを並べた。そして12番から突如バーディラッシュが始まる。12番では残り106ヤードから5メートル、13番パー3では6番アイアンで5メートル、14番では残り100ヤードから2メートルにつけて3連続バーディ。

15番でボギーを1つ挟んで、16番パー5ではグリーン周りから3打目のアプローチを2メートル、一番奥の狭いエリアにピンが切られた難関17番パー3では7番アイアンで1メートルにつけるスーパーショットで、6個目のバーディを奪った。

後半の猛チャージで4位に入った岩田だが、実は今大会前は絶不調だった。「始まる前に悪すぎて…何かいろいろ考えていました。もう練習もしたくなかった」。なかなか感情を表に出さない、いつもの岩田の調子でつぶやくように言う。そして、「初日の途中でどうしようもなくなっちゃって、冷めちゃったんですよ。はい。ずっと冷めっぱなしでした」と明かす。

初日は2アンダー・49位タイで発進。そこからトータル6アンダー・22位タイ、トータル8アンダー・13位タイと順位を上げて、最終日に5アンダーを叩き出している。日を追うごとに熱量は上がっていると思うのだが、本人は冷めていたのだ。

それでも硬く速いグリーンと、グリーンの端に切られた難しいピン位置にもかかわらず、一度もオーバーパーは打ってない。「初日に冷めてからボギーを打ちたくないと思って…なんとか寄せられるほうに、“きったない”ゴルフをしていました」という。その内容については「とりあえずフェアウェイにいかないと無理だから、ドライバーで打ちたいところも刻んだり。今週はけっこう刻んでいました」。攻める気持ちを抑えたことで、4日間でボギー4つ、ダブルボギー1個に収めたのだ。

冷めているというとネガティブに聞こえるが、岩田にいわせると「ポジティブに冷めている」。調子が悪くなると「怒って余裕がなくなる」ため、ボギーやダブルボギーが来ても心を波立てず怒らないようにした。それが、「僕のなかでは冷めているんですよ」。やはり独特な岩田ワールドがあるようだ。

欧州ツアーとの共催試合とあって、4位タイでも約1200万円の高額賞金を獲得した。『けっこう稼ぎましたね』と水を向けられると、これまでで一番声を張って「ありがとうございます!」と答えたのだった…。(文・下村耕平)

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