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「風で難しくなるのが好き」“上田桃子な”試合運びで、4差トップで最終日へ

さすがベテラン。強風時のプレーはお手の物だ(撮影:佐々木啓)

<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 2日目◇18日◇鹿児島高牧CC(鹿児島県)◇6419ヤード・パー72>

ベテランらしい、いや上田桃子らしいゴルフだった。きのうよりも強い風が吹くコンディションのなか、トップタイでスタートした上田がこの日のベストスコアタイとなる「66」をマーク。トータル13アンダーまで伸ばし、後続に4打差をつけて最終日へ進む。

「午前中は風がグルグル回っていて、アゲインストに感じたところがフォローになったり、縦距離を合わせるのが難しいなと感じていた」。迷いながら打ってしまいそうな難しい風が吹いても、上田は落ち着いていた。「グリーンを外してもいいホールは、乗せなくても外すくらいの方に打っていったり、基本的には(外しても)いいサイドには打っていけていた。わからないときはセーフティなマネジメントができていた」と振り返る。

「(きょうのような)わからない風はあまり好きではない」と前置きしつつ、「風の日は楽しみです。風で難しくなるのが好き」と平然という。理由は「球を乗せるのか、ぶつけるのか。そういう計算しながらマネジメントできるので、より集中力が出るなと思う」と語る。

グリーン周りやグリーン上でも風の影響を考えるか? と聞かれると、「考えます」と即答。ビリヤードのようにグリーンを外すときも、次打の風向きを計算している。「風が吹く日は特にストレスがかからないゴルフを心がけている。3打目が上りだったり、アゲインストで打てる方からマネジメントするのを心がけています。そっちのほうが難しいアプローチが残らないことが多いと思います」。

確かに難しいと感じる状況のアプローチも、アゲインストに向かって打てば、止めるのが簡単になることがある。上田はグリーンを狙うショットのときからそれを考えているのだ。読みづらい風のなかでもマネジメントがしっかりとできたことで、ボギーフリーのラウンドにつながった。

9番ではティショットを左にミスしたが「それ以外はそこそこだったかなと思う」とショットは開幕戦から引き続き好調を維持している。きのうの夜から朝にかけて大雨が降り、フェアウェイはランが出にくかったが、「キャリーがほしくて飛ばしたい気持ちになりそうだなと思っていたので、きょうは常に6~7割くらいの振り感で、と朝から決めていた。“飛ばしたいな”というのをよく我慢できたかなと思います」と、余計な力が入ってミスが出るのを未然に防いでいた。そんなところも上田らしい。

15番までは同じ最終組で回る稲見萌寧とは1打差だったが、上がりの3ホールで2つのバーディを奪い、稲見が最終ホールでボギーを打ったことでその差が4打に開いた。「追いかけてくる選手もいい選手ですし、1打でもリードしていたいと思っていた。最後のバーディパットは絶対決めたいなと思って決められたので、その辺もメンタル的に大きかったかなと思います」と、最終18番では4メートルをねじ込んで、今季初優勝へグッと近づいた。

昨年の「TOTOジャパンクラシック」、「伊藤園レディス」では最終日を首位で迎えながら敗れた。「気負ったところで、やることは一つひとつ変わらない。前はこうだったとあまり考えすぎないで、アグレッシブさだけを大事にプレーしたいと思います」。コースの状況に合わせたマネジメント&メンタルコントロール、そして勝負所を読む力。最終日も“上田桃子な”横綱ゴルフが見られるかもしれない。(文・下村耕平)

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