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河本結は“独自手法”で疲労をリセット 上位浮上で弟・リキに送りたいメッセージは「もう心配しなくていいよ」

体と頭の疲労をリセットし、5位タイに浮上した河本結(撮影:米山聡明)

<SkyレディースABC杯 3日目◇28日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6660ヤード・パー72>

ステップ・アップ・ツアー唯一の4日間大会は3日目が終了。2018年にこの大会を制している河本結が、ボギーなしの5バーディで「67」と会心のプレーを披露。首位の橋添穂とは2打差、トータル4アンダー・5位タイと好位置で最終日を迎える。

前半は6番パー5、8番パー3でバーディを決めると、後半でも13番、14番と2つのパー4で連続バーディとすると迎えた最終18番パー5では見事2オンに成功。ピン下7メートルからのイーグルトライは、一旦カップに入りかけたかに見えたが、カップのフチで蹴られイーグルゲットはならなかった。決勝ラウンドに設けられたイーグル賞の30万円は獲得ならずとも、笑顔で1日を終えた。

「この2日間は、後半の15番から落としちゃって。14、15番あたりから結構バテテきてたのでそれを踏まえて昨日は早めにホテルに帰って、17時半頃から寝ました。夜起きて部屋でご飯を食べてまたすぐ寝て。だからその睡眠が効いたのかなって」。前日までのプレーを振り返った河本は、いつにも増して疲労感を自覚しており、コンディション作りのため睡眠時間を増やす作戦を立てた。

その結果が13、14、18番を獲っての5バーディのラウンド。「そこが(終盤の15番以降)キーホールだと思っていたので。15~18番でいかに伸ばせるかというのが今日のテーマだったので、そこまでは無理せずチャンスが来たらバーディを獲っていくという、無難なゴルフをしよう。そこから気合を入れていこうという感じだったので」。レギュラーツアーでもまれた経験が勝負所の見極め、攻守のメリハリに生きている。

さらに、河本が疲労をもたらした原因として挙げたのがラウンドする組の人数。「4人組で回るのと3人組で回るのでは違いがあって 4人って自分の打つ番まですごく長いんですよ。ゲーム時間が長いじゃないですか。そうすると考える時間も長いし、待ってなきゃいけない。立ってる時間も長いからそれで最後のほうで疲れてきたので」。目にはみえない疲労はショットにも影響し、河本がポイントに挙げた終盤の15、16、17番に限ってみると、予選ラウンドの2日間で5オーバーも打っている。18番はイーグル、バーディで3アンダーとここでなんとか盛り返しているが、それでも上がり4ホールで見れば2オーバーだ。

「決勝は3人組になってプレーがスイスイいけるようになって、昨日早めに寝て疲れがとれていたのと、15~18番でスコアを伸ばすという気持ちを持って気を引き締めて最後できる余力があったのが良かったのかと思います」。レギュラーツアーでは通常3人一組のラウンドになるが、ステップでは予選ラウンドの2日間は4人1組のケースもあり、決勝ラウンド2日間は、人数が減ったこともあり3人1組となっているのも河本にとっては好材料となった。

ただし、河本を襲った疲労感は、肉体的なことだけではなく、脳の疲労もあった。「脳が疲れちゃう。頑張って迷走したり、集中が散漫しないように気をつけていたんですけど、それにしても時間(ラウンドの)が1時間くらい違うのでそれは大きいかなと思います。徐々にアジャストできてきていますけど」とレギュラーツアーとステップの違いには戸惑いも覚える。

いろいろなことを経験し、再び優勝争いができるまでになった河本。最終日は「ステップでもレギュラーでももちろん優勝争いするということが大事だと思うので、自分がどれだけ成長できているのか、スコアもそうですけど、それ以外のショットだったり考え方とかもどう変わっているのか楽しみという感じです」とファイナルラウンドに臨む。

また、この日開幕した国内男子ツアーの「バンテリン東海クラシック」の初日では、ディフェンディングチャンピオンとして出場する弟の河本力も上位争いを繰り広げている。「家族には迷惑をかけてばかりなので、リキもすごい気にかけてくれてるので、もう心配しなくていいよっていう姿を明日はみせられればと思います」。最後は真っすぐにこちらをみて話した河本。復活優勝へ、今日獲りそこなったイーグルは、明日こそ決めてみせる。(文・土屋裕一)

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