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“チーム・青木瀬令奈”が見据える先。非力でも【軽量スチール・短尺化】が必要な理由

いつもカメラマンに笑顔をくれる青木瀬令奈。心強いサポート体制で、1年間を戦い抜く

“チーム・青木瀬令奈”が夏以降を見据えた戦いに向け、試行錯誤を重ねている。今季は初日に好スタートを切ることが多く、当然、その勢いを最終日まで持続させたい。そして「体力を持たせること」をテーマに、中・長期的な解決をダンロップとギア面から思案中だと大西翔太コーチは語る。

■上がり3ホールの疲れ対策で“短尺化”

「今季の国内女子ツアーは39試合で4日間の試合も増えました。一年間戦う上で、[日本シャフト]()さんの軽量スチール『ゼロス7』に替えました。ツアーの中では少数派ですね」(大西翔太コーチ)

これに伴い、短尺化にも踏み切ったと言う。「アイアンを0.5インチ短くしました。身長も高くなく、アドレスのグリップ位置が低い青木プロのスイングだと、短くした方がいいなと。カーボンの時も、軽さと長さを上手く使って良いショットが出ていましたが、上がり3ホールで疲れて振り切れなくなる傾向がありました。彼女の場合は、重さだけじゃなく“長さ”も疲れない条件だなと思って」。

短尺化の結果、「疲れた時でもインパクトで手元が浮くミスがはっきり減りました」とのこと。しかし、カーボンからスチールに替え、しかも短尺にして飛距離は落ちないのだろうか。弾道の変化についてこう語る。

■短尺でも高弾道で飛距離が落ちない

「まったく距離は落ちていません。しかも振り切れる分だけ、弾道も高くなりました。むしろ縦のバラツキが減って奥行きがないピンポジションでも攻められるようになりました。理由の一つはスリクソン『Z785』の性能だと思います。『Z785』は芯も広くて抜けも抜群ですし、打感も良いので厳しいライからでもショットのクオリティが上がりましたし」(同)

『ゼロス7』の硬さはSにしたそうだが、今後、さまざまなテストを重ねる予定だと言う。「カーボンからの移行もスムーズにできましたし、このシャフトは素晴らしいですね。短くしてもしなやかさもありますし、かといってインパクトで芝に負けず、しっかりコントロールできますから」。

女子プロの使用ギアに詳しいギアコーチの筒康博は、大西コーチとの会話でこう提案したと言う。「シャフトの剛性分布を見る限り、調子やコースによって番手ずらしで硬くしても面白いかもしれませんよ」。すると、大西コーチも「ダンロップの松栄さんも同じことを言っていて、ちょうど、これからテストするところです」。大西コーチとのやり取りで、改めて筒はこう語っていた。

■「名コーチは選手を削らない。無事之名馬」(筒)

「チーム・青木瀬令奈は、連携が素晴らしいと思います。大西コーチはキャディでもあるので、実際に選手のバイオリズムや調子、どういうケースでどんなミスが出るかをつぶさに把握してます。だから長期的に見て、選手にやみくもにスイングを変えさせたり、新ギアのテストで調子や体力を削ることなく、体力面を第一にしたサポートに徹しています。

本人も、“ダンロップさんのおかげで、ラクをさせてもらってる”と謙遜していましたが、見えないところで目配り・気配りが行き届いてますよね。コーチ善として、スイングを直すだけではなく、ギアもうまく使って、一番効率のいい方法で選手に無理なくパフォーマンスアップへ導く。試合数が非常に多い、今の時代に合ったコーチング手法だと感じます」(筒)

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