【日本代表】内村俊太「出番は少なくても役割に徹したい」

日本代表は10月1日、AFCアジアカップ予選に向けた国内トレーニングの最終日を終えた。開催地の台湾に出発した木暮ジャパンは、7日にオーストラリアとの初戦に臨む。

内村俊太は2013年に日本代表デビューを果たしてから10年となる。先輩ばかりだった顔ぶれは大きく入れ替わり、気づけばフィールドプレーヤーのなかで上から3番目の年長者となった。

2014年大会、2022年大会、そして今大会と、3度目のアジアカップに“ベテラン”として挑む内村に話を聞いた。

【日本代表】メンバー&スケジュール

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各々が柔軟に対応する必要がある

──ブラジル遠征には追加招集という形で参加しました。実際に声がかかった時の心境を教えてください。

(9月9日の)ホームの試合会場で「明日行ける?」って言われて、「明日!?」って(笑)。驚きましたけど、もちろん参加させていただきました。

──仕事との調整は大丈夫でしたか?

もともと準備はしていたし、もちろん問題ありませんでした。昨年もブラジルと試合はしましたけど、きちんとした大会でもう一度戦える貴重な機会だったのですごく楽しみにしていました。

──アウェイでのブラジル戦はどんな感覚でしたか?

まず観客から違うじゃないですか。会場に入った瞬間から「うわ、やっぱりすごいな」と圧倒されました。でも、そういう場所のほうが僕自身はテンションが上がるので、すごく良い雰囲気を感じることができました。ただ、やっぱり相手は強かったですね。シンプルに一人ひとりのクオリティが高いし、ピヴォもずっと前で張っているだけじゃなく動きながら点を狙ってくるし、全員がボールを持てるので、日本のピヴォを使った戦い方とは全然違うなという印象でした。

──内村選手は昨年のアジアカップでイランのピヴォを抑えていましたが、それでもブラジルのピヴォは違いますか?

ちょっと違いましたね……。難しかったです。マッチアップしたのは基本はラファ(元名古屋オーシャンズ)でしたけど、うまかったですね。名古屋でももちろんすごかったですけど、あれだけ周りもすごいともっと光るんだなと驚きました。

──ブラジル遠征を経て、今回も続けてメンバーに選ばれました。招集が決まったことを聞いていかがでしたか?

もちろんうれしかったです。僕の役割は対ピヴォの部分で、起用法については去年のアジアカップと同じく出番は少ないと思います。それでも役割に徹しようというマインドで、自分なりにちゃんと気持ちを整えて臨みたいなと思います。

──フィクソとしてはオリベイラ・アルトゥール選手や石田健太郎選手がいます。それでも怪我などイレギュラーが起こった際に、内村選手の経験値の高さは生きそうですね。

そうですね。それと同時に自分はアルトゥールとも健太郎とも違う持ち味があるので、出た時にはしっかりと強みを発揮していきたいです。

──4-0でのプレス回避については、チームと代表の違いはありますか?

湘南も基本は3-1のピヴォありだし、代表も最近4-0にシフトし始めたので、全然違いますね。やってきていなかった分プレーの迷いもありますけど、大まかなシステムは理解しているし、試合になると相手によってまた全然変わってくると思うのでうまく対応していきたいです。

──戦術が変わったのは、ワールドカップに向けていろんなオプションや引き出しを持つことが狙いなんでしょうか?

そうだと思います。今回のブラジル遠征でもそうでしたけど、ピヴォにボールが入りづらいことが一つの敗因にはなっています。なので、なるべく4-0で自分たちがボールを保持して相手の攻撃の時間を減らすことができれば、自ずと失点も減るよねという説明を受けました。でも今後4-0が難しいとなれば、また3-1に戻したりといろんなパターンがあると思うので、そこは各々が柔軟に対応する必要がありますね。

──今回の予選のために4-0を仕込んでいるというよりは、その先を見据えているということですね。次の試合では相手がプレスに来ない可能性もありますもんね。

そうなんですよ。そこに対しての対策もありますし、カウンター狙いのパターンも十分に考えて、それをいかに崩すかという練習もしていました。

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周りを生かすことにフォーカスする

──気づけばGKを除いて上から3番目の年齢になりました。若い選手も増えてきた日本代表チームはいかがですか?

僕もメンバーに入ったり入らなかったりで定着していた選手ではないですが、経験もあるのでピッチ内外での役割はもちろん変わってきています。湘南と顔ぶれも違いますけど、いろんな選手とコミュニケーションを取ることを意識しています。

──内村選手も初めて代表に入ったのは20歳くらいですよね。今の金澤空選手山中翔斗選手をはじめ若い年代の気持ちを理解できる部分もあるのでは?

あの時に比べたら、(代表の雰囲気も)だいぶ柔らかくなりましたけどね。もうちょっと怖かったっていうか……(笑)。

──金澤選手、山中選手を見ると、チームで蓄積しているフットサルのベースが上がっているのかなと。一つの武器だけではなく、いろんなことに適応できる成熟さが見えますよね。

しかも代表だからどんな状態でも結果を出さないといけないし、飲み込みを早くしないといけないので、今の若い選手はすごいなと思っています。

──湘南での戦い方を見ていても、内村選手は対ピヴォでずっとマークしているというよりは、トータルでいろんなことができるプレーヤーだと思います。チームと代表での役割の違いについてはいかがでしょうか?

湘南だと、たとえば僕が左アラで張ってドリブルしたり自由にやっていますけど、代表は全員が各ポジションのスペシャリストだと思うので、サポートすることにフォーカスしています。流動的に動くプレーが必要になる時もあるかもしれませんが、基本的には各々の役割を全うするメンバーが揃っていると思うので、周りを生かすことを最優先にしたいと思っています。

──内村選手はチームでは主力としてプレーし続けていますが、代表になるとベンチから声をかけるシーンも多く、立ち位置としては少し複雑ですよね。

正直、前回大会の時もきつかったですけど、最後は信頼して使ってくれて結果を残せてよかったです。また今回も同じ役回りになってくると思いますけど……。それもいい経験ですね。普段チームで出ていない選手はこういう気持ちなんだっていうのもわかるし、いい方向に捉えています。

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