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「同じ相手に2回負けるか…」昨年の敗戦を乗り越え中村友亮が“4度目の対戦”で手にしたF1昇格「勝負の神さまが味方してくれた」

あの悔しい敗戦から一年、しながわシティがついにF1昇格を決めた。入れ替え戦で2ゴールを奪う活躍を見せた中村友亮にとっては、他の選手たち以上に感慨深い瞬間だった。

振り返ると中村と長野の“因縁”は2019年から続く。

当時、中村はアグレミーナ浜松の一員としてFリーグ史上初の入れ替え戦に臨んだ。初のF1昇格に向けて一丸となって戦う長野を前に完敗。F2降格が決まった。

その後トルエーラ柏に移籍すると、2021年にはF2で優勝。F1で最下位だった長野と、入れ替え戦の舞台で対戦する“はず”だった。しかしクラブライセンス問題により試合は開催されなかった。

しながわシティとなった2022年は再びF2で優勝。クラブライセンス問題も解消され、再び長野と対戦する舞台は整った。「絶対に倒して上がりたい」と強い思いを持って臨んだ入れ替え戦、第2戦の残り5分まではF1に手が届いていた。しかし痛恨の逆転ゴールを許し、2-3で敗れたしながわのF1昇格はまたも叶わなかった。

そういった辛い経験がつながって迎えた今回の昇格。試合直後の中村に思いを語ってもらった。

■この試合の無料ハイライトはこちら(ABEMAビデオ)

長野にリベンジして上がりたいという思いが強かった

──昇格おめでとうございます!率直な感想は?

長かったですね。3年かかったので嬉しさもあったのですが、個人的にはホッとした気持ちの方が強かったです。めっちゃくちゃ嬉しい反面「やっと上がれた」という安堵の気持ちが大きかったですね。

去年はフットボールをやってきたなかでも一番悔しい気持ちでした。何も考えられないような。頭の中が真っ白になりましたね。そんな経験はあまりなくて、去年負けたことで初めての経験でした。

今年も1戦目に勝っていましたが、何があるかわからないと思っていましたし、かなりのプレッシャーを感じて今日を迎えていたので、ホッとしたという感じですね。

──昨年は経験したことのないような喪失感があったなかで、そこからどのようにしてチームや中村選手自身が立ち上がっていったのでしょうか?

負けた後に少し休みがあってまた練習が始まったのですが、ボールを蹴ってみるとなんとなく忘れられる。やっぱりここにいる誰もが、ボールを蹴ることが大好きなんで、徐々にスイッチが入っていく感じでした。辛い思いをしながらも練習にいけたので、みんなで少しずつ立ち直れたと思います。

──そうして立ち直っていった結果、今年もF2で無敗優勝を成し遂げました。

F2でも難しい試合はありました。関東リーグのチームと練習試合もしましたけど、そこでも難しさはありました。ただ、今年はF1のチーム以外に負けていません。

前半にリードされてもひっくり返す。そして勝ち切ってきた経験が力になったと思います。F1のチームに対しても負けることはあっても、勝つこともありました。特に外国人選手も3人になり、メンタルの部分で彼らの貢献は大きかったと思います。

──F2で優勝してから入れ替え戦まで時間がありましたが、そこで難しさはありませんでしたか?

チームとしてそこはなかったですね。大分でも長野でも、僕たちがやることに変わりはありません。長野には去年の入れ替え戦でパワープレーからやられましたので、そこは警戒しました。ただ、長野だから慌てて練習したわけではなく、監督も言い続けてきましたが、誰が出ても守り切れるように準備してきました。

──中村選手にとっては大分は古巣ですし、長野は去年敗れたチーム。そのどちらとも対戦する可能性がありましたね。

大分に所属していたので、対戦することに心痛む部分もありました。ただ、個人的には去年敗れていた長野にリベンジして上がりたいという思いの方が強かったですね。

──中村選手個人で言うと、浜松時代に長野の入れ替え戦で敗れて降格を味わっています。そういう意味でも「対長野」に強い思いを持っていたのでは?

浜松の時に負けて、去年長野と対戦することが決まった時に「絶対に倒して上がりたい」と思っていました。その思いを強く持っていたなかでの敗戦で「2回負けるか…」という思いはありましたね。こういう舞台で2回負けることってなかなかないので。なので今回にかける思いは強かったですね。

トップカテゴリーでやれるってところを見せたい

──その長野との対戦で第1戦は、前回対戦以上に点差をつけて勝利しました。しかし第2戦は再びパワープレーで、2試合合計1点差にまで詰め寄られました。ピッチで戦っていて焦りはありませんでしたか?

第2戦の最初からパワープレーをやってくるだろうなとは予想していました。早い時間帯で失点をしてしまい、2失点目も喫してチーム内でも少し嫌な空気になりました。ただ、そこで出ていない選手も含めて声をかけてくれましたし、一点を返せば状況を変えられるという空気感はありましたね。

──そこで瀧澤選手が第1ピリオドの終盤にゴールを決めました。さらに第2ピリオドに入って中村選手もゴールを決めて、一気に流れを持ってきましたね。

受け身に回っていたらいつかはやられてしまいます。どこかでは返していかないと勝ちきれないと共有できていたので、それが実行できたことが勝利に要因かなと思います。ただ、戦っているなかでは、昨日のリードのことを忘れて、この試合に勝つことだけを考えてプレーしていました。

──2試合合計スコアを考えなかったのは去年との違いでもある?

受け身になるとやられることは去年に痛いほど知ったので、どこかでこっちもアグレッシブにいこうと狙っていましたね。

──昨年の入れ替え戦での敗戦からこの1年間、チームにとってはどういう意味があったのでしょうか?

練習からこだわらないとF1のチームとは対等に渡り合えない。去年はそれでも敵わなかったので、そこにプラスして何かをやらないといけないなと。やはり現状維持だと入れ替え戦で勝てないと思っていたので、個人個人がプラスアルファでトレーニングをしていました。そういう意味で最後は、僕たちに勝負の神さまが味方してくれたのかなと思います。

──来季のF1でチームとして、個人として何を見せたいですか?

まずはF2から上がってきたチームでもトップカテゴリーでやれるってところを見せたいですね。練習から細かなところまでこだわってやってきました。それをF1相手にどれだけできるか。選手権もそうですし、練習試合でも手応えを感じているのでそこを見せたいですね。

個人としては年齢がいってもやれるってところですね。(36歳は)だいぶ年齢もいっているので(笑)。

──でも45歳までそのスタイルでプレーされた方もいますが?

それを言われるとちょっとアレですね(笑)。(金山友紀選手は)密かにずっとお手本にしていた選手なので、本当は上がって対戦したかった。去年上がれなかったので、残念ですね。プレースタイルを変えずにやっていきたいですね。

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