【日本代表/WEB取材】「ゲームを支配している時間帯や回数が増えたという分析が出た」。ブルーノ監督が語る3試合の手応え
蓄積期:7/22〜8/6 W杯へつなげるためのベースづくり
移行期:8/8〜8/31 W杯で使えるように洗練していく
実現期:9/2〜9/13 土地への適応&組織・個の最適化
9/14 アンゴラ戦
千葉県・高円宮記念JFA夢フィールドで行われた国内合宿を経て、現在スペイン・ポルトガル遠征中の日本代表は、ブルーノ監督のサイクルによれば移行期にあたる。18カ月ぶりとなる国際親善試合のポルトガル戦(2●3)を皮切りに、ベネズエラ戦(2△2)と、アルゼンチン戦(1●2)の3つの強化試合を行った。ブルーノ監督が、これら3試合から読み取った手応えと改善点は何なのか。
日本がW杯で主役になるために、ブルーノ・ガルシア監督が現状と今後を語った。
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前回不出場の汚名を晴らす主役級の活躍を
−−スペイン・ポルトガル遠征での活動を振り返って手応えは?
この活動は18カ月ぶりのゲームの機会を含んだもので、W杯の準備として非常に重要なものです。また、欧州で活動している選手の久しぶり合流もあり、とても充実しています。欧州王者のポルトガル、前回世界王者のアルゼンチン、新興の強豪国ベネズエラとの対戦を経て、勝利はつかめていませんが、結果は二次的なものであり、我々がここまで取り組んできたことの成果を確認できるかにポイントにおいています。その点で適切な進捗をしていると感じており、このまま進めば望むべきところへ行けると感じています。
−−W杯メンバー16名が発表されました。日本のファン・サポーターへ向けて意気込みをお願いします。
リストに関してはサプライズがあるものではなかったと思います。これまでの流れの中で大方固まっていたものが、このタイミングで発表になりました。従来のW杯では14名のメンバーリストですが、このコロナ禍という状況下により16名のリストインが許されたことは、我々にとって素晴らしい変更でした。16名になり、年齢バランス、ポジションバランスが取りやすくなりました。若い世代、アジアインドアゲームズを経て代表入りした世代、それより上の世代、この3世代の経験と勢いをミックスしたリストになり、期待感に満ちています。
日本は9年ぶりのW杯出場となります。前回大会の出場を逃していることは無視できないですし、今大会で本来我々が持っている力をあらためて示し、主役級の活躍をすることが使命だと思っています。このメンバーをもってすれば、その目標を達成できるはずですし、それに値する取り組みも今はできています。この先も、それを継続することが主役になるための条件であり、メンバーリストの発表は、その意思をあらためて固める機会だと思います。
−−テストマッチのどういう部分に、手応えを感じているのでしょうか?
結果には満足していません。あくまでもプロセスとして、取り組んでいることの進捗が確認できているという点に手応えがあるということです。その理由としては、欧州王者のポルトガル、前回王者のアルゼンチンに非常の多くの時間帯、あらゆる局面で我々が目指す「主導権を握って主役たるプレーをする」ことができた。分析をすると、ボールを持っているときも持っていないときも、ゲームを支配している時間帯や回数が増えていた、という事実がありました。
昨日もアルゼンチンを相手に、第2ピリオドはフィニッシュの成功こそできず、それが敗因となりましたが、それ以外では優位性を持つことができ、アルゼンチンはなんとか耐えるという試合を展開をできました。自分たちの目指すスタイルが顕著に現れたと思います。それはベネズエラ戦もそうで、終了間際に同点弾を許しましたが、ベネズエラという違うタイプの国に対しても多くの局面でゲームを支配できました。自分たちの体現しようとするスタイルがどんな相手にも通用することが確認できているのは大きいです。
−−欧州で活動している選手の馴染み具合は?
長い期間共に活動できなかったが“透明な仕事”、見えない取り組みを彼らはやってくれていた。代表メンバーとして常に同じ時間を進んでいると感じてもらえるようにコンタクトしてきました。そういうこともあり、離れている時間が長かったと思えないくらいの調和を形成できていて、チームというよりもファミリーという関係があらゆる部分でできていると感じています。
これは人間性の質も大きな背景になると感じています。選手たちはお互いに意図的にコミュニケーションを取ったり練習中もそれ以外も関係性を作り、意図的な働きかけをしています。欧州組という区別がつかないくらい良い輪ができていると感じています。
−−素晴らしい内容だと感じているが、ベネズエラ戦の終わり方、アルゼンチン戦の入り方に課題を感じたが。
その2点の評価、振り返りとして全く当たっています。そして、まさにそういった課題が出たときに、それをきちんと発見して修正するためにこういう試合を計画していますし、そういうエラーをあぶり出して改善していくためにやってきています。毎回の試合で新しい発見を突き詰めながら成長していくものだと思っています。
ポルトガル戦は、試合への入りが非常に良かったが勝てなかった。そこに課題がありますし、ベネズエラ戦に関しては、おっしゃるように最後のコントロールをどうするか。また、その前の状況で決めておくべきでもありました。アルゼンチン戦は序盤の失点はありましたが第1ピリオドは拮抗し、第2ピリオドも数々のチャンスができていたので、そこで得点できていれば、見え方も振り返り方も違っていたのではないでしょうか。何が課題なのか、冷静に選別してアプローチしていく必要がありますし、そのあぶり出しとしてトレーニングマッチを行なっています。
−−実りのあるトレーニングマッチだった?
そのとおりですね。実りの多い、ここまでの3試合でした。
−−セットプレーのチャンスが多かったと思う。得点を決めるにはあと少しの調整?
手応えは感じていますし、ベネズエラ戦では得点に結びつけ、アルゼンチン戦でもゴールに迫りました。最後の精度が課題ですが、その部分を徹底的に磨くことがポイントです。拮抗したゲームではセットプレーがポイントになります。精度を高め大きな武器として拮抗したゲームで使えるようにしたいです。
−−9年前のW杯に比べて強豪相手にも押し込んでいて、そこでフィニッシュをどうするかを煮詰める段階のチームになれたと感じます。北澤豪氏が「ベスト4以上を目指す」と話していたことを受け、この先、攻撃面で詰めていくべきことは?
まずは「ベスト4」という話がありましたが、これはハートと思いからくる数値目標だと感じています。私の思いからすれば「負けたくない」ので、心の中では「全部に勝って優勝したい」という気持ちです。ただ、プロジェクトの進捗や現状を考えると、それを具体的な目標として置くよりは、「ひとつひとつの勝利を積み上げるため働きかける」ということをまずしていきたい。私がこの仕事を受けた当初の要件は「W杯の舞台に立ち返ること」であり、それを念頭に進んできています。その先は、できるだけ高く遠いところに日本代表という船を押し進めたい、という思いでやっています。仕上げの段階で国際レベルのトップクラスとのトレーニングマッチを組むことでそれを目指している段階です。
フィニッシュに関しては、我々の目指すフットサルの形ができていて、ゲームを支配しゴールに迫る多くの機会を作ることができているので、繰り返し繰り返し反復しながらそこに意識を向けることで改善をしていくこと、それに尽きると思います。信念を持って続けていけば精度は高まると思っているので、そこに注力しながら引き続き改善していきたいです。
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