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牛丼がフットサル界を救う。吉野家とY.S.C.C.横浜が始めた「フットサルで食う」ための取り組みとは?

フットサルでは食えない──。

Fリーグ発足から今年で14シーズン目を迎えるが、いまだに各クラブのプロ化は進んでいない。サッカーやプロ野球のようにプレーだけでお金を生み出すことは難しく、身銭を切ってプレーを続けている。

必死にフットサルに取り組んでいても、引退後のキャリアは不安が多い。30代後半で“社会人”として新たなチャレンジを強いられる。そういった様々な理由で「フットサルを続けたい」、「フットサルで日本一を目指したい」といった思いを志半ばで断念する選手が多い。

もはや定説となりつつある「フットサルでは食えない──」。

しかし、この逆境を覆すことが可能となるかもしれない。大手牛丼チェーン店の吉野家とY.S.C.C.横浜の閉塞感漂うフットサル界を打破する施策とは。

なぜ吉野家はYS横浜をスポンサードするのか?

2019年4月20日、YS横浜は株式会社吉野家とオフィシャルパートナー契約を締結したことを発表した。「うまい、やすい、はやい」で有名なあの吉野家が、F2のYS横浜のスポンサーとなったことは、フットサル界に大きな衝撃を与えた。

そもそもなぜ吉野家は、マイナー競技であるフットサルのチームとオフィシャルパートナー契約を結んだのだろうか?

その答えは、2020年2月17日に吉野家ホールディングスで行われたYS横浜の優勝報告会で明らかとなった。登壇した株式会社吉野家常務取締役の伊東正明氏は、その理由が3つあるという。

1つは、「スポーツをしている方々に吉野家を思い出すきっかけを持って欲しい」という、本来のスポンサーシップのあり方である広告としての役割だ。

昨シーズンのホーム会場では吉野家の牛丼が販売され、YS横浜の勝利後には公式通販ショップでTポイント20倍キャンペーンなどのイベントも行われるなど、会場に来たファンやサポーターは今まで以上に吉野家を目にする機会が増えた。また、新シーズンから戦うF1はAbemaTVで全試合が放送されるため、昨シーズンとは比べ物にならないほど多くの人たちが吉野家を思い出すきっかけを手にする。

伊東氏も「見る競技として浸透していないと言われますが、確実にもっと多くの方々に見ていただく機会が増えるはずです。そこで吉野家のユニフォームを着て活躍してくれることは素晴らしいことだと考えています」と、YS横浜のさらなる活躍に大きく期待する。

2つ目は「吉野家としての社会貢献」。

これについては伊東氏とともに優勝報告会に出席した、株式会社吉野家執行役員外販事業本部本部長の早麻義隆氏が、その考えを明かしてくれた。

「(社会貢献として)若い人たち、一生懸命に取り組んでいる人たちに何かできないだろうかと考えたのがスタートです。我々にできることは食事の支援。牛丼を腹一杯食べてもらって、頑張ってもらおうと、食事の支援を決めました」

吉野家は、仕事と練習でゆっくりと食事を取る時間がない選手たちに、自宅でもおいしい食事がとれるようにと冷凍牛丼を提供。YS横浜の渡邉瞬GMの「吉野家様から牛丼の支援をいただいて、牛丼パワーで勝ってきた」は言い過ぎかもしれないが、それでも選手にとって食に対する不安が取り除かれたことは大きい。

【次ページ】フットサル版「うまい、はやい、やすい」

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