大晦日の名物「RIZIN」7年の軌跡とスター選手をまるごと解説
(Photo by FOTOKITA)
近年の格闘技界において、“大晦日の風物詩”と呼べる存在として人気を集めるのが「RIZIN(ライジン)」だ。2022年も12月31日に「RIZIN.40」の開催が発表されており、米格闘技団体「Bellator(ベラトール)」との対抗戦が注目を浴びている。そこで今回は、さまざまなスター選手の登場やビッグマッチの開催など、創設から7年が経過し総合格闘技団体の中でも高い人気を誇るRIZINについて、歴史や独自のルール、注目ポイントなどを紹介していきたい。(文・井本佳孝)
「PRIDE」も手がけた榊原氏が2015年に旗揚げ
RIZINの設立が発表されたのは2015年10月8日。「RIZIN FIGHTING FEDERATION(ライジンファイティングジェネレーション)」の名で他の総合格闘技団体とは競合しないフェデレーション(協会)として誕生した。代表を務めるのが1990年代後半から2000年代にかけて人気を博した「PRIDE」で代表を担った榊原信行氏で、大晦日の旗揚げ興行「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS」にはエメリヤーエンコ・ヒョードルや桜庭和志といった選手が参戦するなど、PRIDE色が強い形で幕を開けた。その後、2016年4月17日に名古屋市総合体育館で「RIZIN.1」が行われたのを機に、全国の主要都市を中心に開催されていく。
RIZINでは主にMMA(総合格闘技)とキックボクシングの試合が開催されている。MMAルールでは10分+5分の2ラウンド制、もしくは5分3ラウンド制が採用されており、選手はオープンフィンガーグローブを着用の上で、グランドポジションでの踏みつけ、サッカーボールキック、4点ポジションでのヒザ蹴りなどが認められている。またキックボクシングルールは3分3ラウンド制で、選手はボクシンググローブを着用し、ヒジによる攻撃は両者合意時にのみ認められ、MMAルールとキックボクシングルールを1ラウンドごとに採用する「MIX ルール」が用いられる試合もある。
また、他のMMAではケージ(金網)を用いたプロモーションが多い中で、四角いリングを採用していることも特徴で、キックボクシングの同時開催により、一つの大会で幅の広いマッチメイクが可能になっている。各団体を横断できるフェデレーションの形が取られてるのは榊原氏の「格闘技をメジャースポーツにする」という想いからで、2016年から年々回数を増やしながらその存在が認知されている。
国内外からスター選手が参戦
7年の歴史の中では、格闘技界を引っ張るさまざまなスター選手が参戦してきた。2016年の大晦日興行ではRISEから那須川天心が参戦し、12月29日、31日に2勝を挙げて、その名を高めた。また、2017年にはアメリカの総合格闘技団体「UFC」のファイターだった堀口恭司が契約満了とともにRIZINに参戦し活躍。さらに、RENAや朝倉カンナ、浜崎朱加といった女性ファイターも大会に彩りを加えてきた。
そんな中でも2018年に「THE OUTSIDER」から参戦した朝倉未来は、RIZINの名を高めるのに一役買ったスターであり、SNSやYouTubeの発信でも注目を集める存在だ。朝倉は2019年にはルイス・グスタボ、矢地祐介といった選手に勝利を収め、同年大晦日開催のBellatorとの対抗戦では大将役を務めた。その後も弥益ドミネーター聡志やクレベル・コイケといった国内外の有力選手たちと対戦し、大会を盛り上げてきた。
また、国外からはボクシングの元5階級世界王者で50戦50勝と無敵の強さを誇ったフロイド・メイウェザー・ジュニアが2度参戦を果たした。2018年の大晦日に行われた「RIZIN.14」では那須川とのボクシングルールによるエキシビションマッチが実現した。メイウェザーは3度のダウンを奪うなど圧倒し1ラウンドTKO勝ちした。また、記憶に新しい今年9月の「超RIZIN」で朝倉と対したエキシビションでは、2ラウンドでTKO勝ち。サプライズのマッチメイクや試合前の会見やSNSでの発信など、試合内外で繰り広げられるエンタメ要素の強さもRIZINの魅力である。
(次のページ「8度目の大晦日決戦」へ続く)
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